第11話 兄妹げんか
部活が終了した。花南はあれから一度も顔を上げなかった。
「ほら帰るぞ」
「うん。!」
まだ立てずにいる。時間もたったしここまでけがをしたと考えるとしばらく休むくらいのけがってことな気がする。
「どした?」
「立てない」
「ほんとか?それならしばらくバスケを休まないといけないな」
「む!」
普通に立ち上がった。そして、無言のまま部室のほうにむかった。あいつの少し甘えん坊気質なところ直さないとだな。何かあると俺に頼るのもそろそろ終わりにしないとあいつが、辛い思いするだけだし。
「帰ろ」
花南がすぐに準備を終えて俺のもとに来た。
「すぐ行くから玄関行ってろ」
ここ男子の部室だし、ここで待たれたら着替えのすんでいない方々がなかなか着替えれなそうだし先に行かせて待っているように言った。
「うん」
ずっと元気ねーなあいつ。というか俺に怒ってないか?さすがに勘違いだよな。
「お待たせ」
「うん」
玄関で花南がしっかり待っていた。
「で、さっきの話の続きは?」
「その前に、確認したいんだが、お前はあの時言ったようなことをしてもらいたいって捉えていいのか?」
「違う。でも」
「わかったから」
俺が妹に怒ることはない。それは俺が優しいからでなくあいつが、怒られるようなことを俺の前でしないからだ。喧嘩になるときもいつもきっかけは花南だった。女の子と一緒に歩いていた時。部屋に入ろうとした時。宿題やテスト勉強をしろといった時。俺は悪気がなかったが、あいつには嫌なことなんだろう。
「そうだな。俺は別にお前に優しいからとかで怒らないわけじゃないよ。今回のはお前は悪くないだろ。だからお前に怒る理由がない」
「それが違うって言ってるんじゃん。部活に復帰するときにならないように頑張るって約束した。なのに、なったんだよ。なら怒るのが当たり前じゃん」
確かにそんな約束したな。すっかり忘れてたよ。
「だが、耐えようとはしたんだろ。昔のお前なら力のまま解放していた。だが、今は抑えようとした。そのうえでなった。なら約束は守っている」
「そうやってきれいごとにするの?いいたいことはいってよ!!
じゃないと私もっとダメになる」
どうしたらいいのだろうか。こいつの直すべきことはたくさんある。その中でも俺がいないと何もできないこと。それだけはなくしてほしいと思っている。俺の意志関係なくあいつが、もっと自由になれたらと考えてしまう。
「考えすぎれば、また獣になる。だからそこまで考え込むな。それにダメにさせないのが俺の役目だ」
「もう。お兄ちゃん大っ嫌い!!」
俺に持っていたバックを投げつけて走っていった。今日一の声の大きさ。それに、久しぶりにあいつが俺に怒鳴ったな。少し安心した。じゃないわ。あいつ足速いから距離取られたらまずいだろ。
「待てよ!」
二つのバックをもってスピードが乗らないが全力で走った。
花南はうまく曲がるところを利用して逃げいてる。なんとか目から離れないくらいの距離だから、追いつけそうだ。
…あれ。今ここ曲がったよな。
花南に合わせて曲がり角を曲がっていたはずが、花南の姿がない。さらに曲がった。その可能性もあるが、さっきまでギリギリ見えていたはずなのに。もう少し探すか。心配していたが、大事な時はしっかり自分の意見をぶつけてくれるんだなあいつも。
さっさと見つけてしっかり話すとするか
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