第5話 喧嘩っ早い幼馴染コンビ
俺と花南は今日、新一年生の面倒を見る係になっている。東郷先輩の指示でそれと並行にほかのメンバー集めをするよう指示された。とりあえず少なくともあと八人、つまり男女四人ずつ集める必要がある。一年生からでもいいといわれているし探していくか。
「ねぇつまんない」
ほとんど見てアドバイスするだけだから俺たちはほとんど見てるだけ。だから、バスケの出来ない状態に花南は飽き飽きしている。
「我慢しろ」
「お兄ちゃんだけでやっててよ。私練習したい」
「先輩!花南先輩練習したいって言ってるんだから先輩がたも混ざってくださいよ」
普通より早く部活に参加している早川が声をかけてきた。
「そうすっか」
こうするのが一番手っ取り早いか。
「あの人すごすぎない?」
俺らが混ざるとやはり花南に注目をしている。
「…」
注目されてうれしいはずなのに何か納得してないような顔をしている。
「どした?」
「あーもうつまんない!!」
花南が一年生を無視して猛スピードでシュートを決めた。さらにボールを持ち逆サイドのゴールに入れた。
「さ、お兄ちゃんの番だよ」
できんことはないが黙っておこ。
「むー。ならもっとやる気に」
「おい、花南!!何やってるんだ。しっかりメニューをこなせ!!」
緑川先輩が怒った。そりゃそうだ。
結局いい人みつかんねーな。どうすっかな。
「あ?このへたくそが」
そう考えると何かものすごく怒ってるような声が聞こえた。
「は?あんたが私のセンスに追いつけてないだけでしょ?何バカなことしてるの?」
男子と女子で喧嘩か。男のほうは同じ学年の小野大我。女のほうはおそらく一年生だな。
「お前はもっと弱い学校いけばよかったんに。この学校辛いろ?ほらさっさと転入しろよ」
大我は短気なのはわかっていたが、あそこまでひどいこと言うやつだったけな。
「え、何?あんたが、必ず来いとかいうから着てあげたんでしょ?」
「いってねーし」
なんか神奈斗と桃花ちゃんを想像できる仲のいい喧嘩だな。多分あれだな。幼馴染とかだな。
「はー。今日の担当の先輩あんな優しかったのに。あんたはぶれないのね」
あ、なんか褒められてる。すこしうれしいな。花南もうれしそうにしてる。
「あいつは、妹いっから甘いんだよ」
間違ってはないんだよな。後輩に優しくしてるのは、妹の感覚のせいだと思われる。だから大我は正しい。
「ちょっと!!お兄ちゃんが甘いとかいった?」
あ、れー。隣で一緒に見ていたはずなんだけどなー。なんで花南があそこにいるんだー。
「当たり前だ。男とか女とか分けてる時点で。だからあいつはまだ足りてないんだよ」
足りてない。何かあいつは俺の弱いところを知っているのか?多分実力とかそういうことでないと思うけど気になるな。
「は?なら今から相手してよ」
「めんどいけどしょうがないな。いいぜ花南ともやってみたかったし。このかすと組んでも負けんから」
「は?なに私巻き込んでるの?それより、かすっていった?」
「かすにかすといって何がわるい」
「なら、やってあげるよ。あんた一人だと勝てそうにないだろうし」
あ、あのー。私も巻き込まれているんですけど。
「んだとてめえ」
「よろしくね」
「は、はいよろしくお願いします」
花南には照れるようだな。
「お兄ちゃんやろ」
これは確実に拒否権ないやつだな。しょうがない少しやってやるか。
「わかった」
あの二人の連携の悪さみたら俺らが負けるわけはないと思うけど。
二対二。前に神奈斗と桃花ちゃんと試合をする約束をしたときと同じルールだ。二本決めたら勝ち。
「お兄ちゃん」
俺らはいつも通り、ほぼノールックですむーずにパスを回した。
「おっそいどいて」
相手の女子生徒のほうが急に詰めてきた。
「どっけ夏奈」
夏奈それが彼女の名前らしい。それより、こうなると。
「花南!!」
花南が誰にもマークをされていない状態になり、そのままゴールを入れた。
「ナイス!!」
「お前が余計なことするから」
「は?あんたが合わせられないだけでしょ」
「お前がだろ。次。合わせろよ」
「了解」
今の一点が何か二人を変えた気がした。理由としては、さっきまでの喧嘩している様子からチームになっているよう感じる。
「お兄ちゃん止めて決めれば勝てるよ」
こいつは俺の強さが証明できれば何でもいいようだ。
「おら」
「いった!もっと優しく投げてよ」
大我は容赦ないな女子にも。思いっきり投げやがって。
「おかえし!!」
そして、夏奈は大我に思いっきりパスを返した。そのせいで反応ができなかった。
「お前も力の入れ方しらねーのか。かすが!!」
ドリブルをせず投げ返した。普通なら止めれるコースだったが、花南も反応できていない。どういうことだ。この二人何かおかしい。
「止める」
夏奈にもう一度渡ったところで花南は次のパスラインをよみ二人の間に入った。
「え?!」
しかしそれを無視して、がらあきになったゴールのほうにまっすぐ投げた。
「わかってんじゃねーか」
大我が走り出すとボールが大我に合わせて飛んでるかのように完璧に手に乗った。そして、そのままゴール。
「お兄ちゃんどうしよう。あの二人強い。もっとスピードを上げて」
「お、おう」
俺はこれでも結構全力だったけど。
「お兄ちゃん」
「悪いな悠斗」
さっきと逆に大我が花南に詰めていった。そうなれば俺がフリーになる。だが、花南もこれが罠になっていることに気づきすぐにパスをしてこなかった。
「花南!!」
だったら後ろに回り込み花南からボールをもらいにいった。
「…」
どう動いても俺と花南の間が完全にふさがれる。さらに、シュートまで行こうとしていない。
「おめーらはつえーよ。だがな。最大の弱点がある。あめーんだよ。お前も花南も」
あまい?どういうことだ。
「だったら抜けばいいだけ」
花南がドリブルで大我を抜いた。
「やっぱり花南先輩強い。でも、作戦通り」
俺と花南の間に入っていた夏奈が花南のドリブルに合わせて後ろから手を出した。
「!お兄ちゃん」
少しのすきが出来た瞬間を見て花南が俺にパスをした。
「おら!!」
しかし、それは大我に取られてしまった。やはり、おかしい。俺らの動きがよまれている。
そのままゴールを決められ俺たちの敗北。
「なんで。なんで負けたの?」
「簡単だ。お前らに長期戦では勝てない。だがな。短期決戦ならお前らの癖に付け込めば勝てる」
「でも、夏奈ちゃんだって」
「夏奈は普通にプレイをしていただけだぞ。かすでも利用すれば強くなるってことだ。お前らは確かにつえー。だが、お前らの連携はあますぎる。男とか、女とか、強さに合わせて攻撃をしていては肝心な時にとられる。前のあの兄妹をみならえ」
俺があまいというのはそういうことか。つまり大我がいいたのは、俺は女に優しくする癖で試合中もパスなどがゆるくなっている。花南は俺との実力差を考えてプレイをしてしまうせいで必要以上に手を抜いてしまっている。それに対し、この二人や神奈斗たちは、互いに容赦なく行動している。もちろん体力を考えたらすぐに疲れるが、短期試合ならこっちのほうが確かに強い。俺は信用しているといっていても花南を完全に信じて入れなかったんだろう。
「なぁ急なんだがお前ら。混合のメンバーにならないか?」
今の一試合でわかった。確実にこいつらは混合でも強い。
「私はいいですよ。どうせ一年生は試合に出れませんですし。でもこいつはいらないです」
「ったくしょうがねーな。こいつとやるのはしゃくだが、お前らにまかせてらんねーしやってやるよ」
ものすごく上から言ってくんな。負けたから言い返せないけど。それに言葉遣いとか態度とか考えなければ大我っていいやつなんだ。はもったおかげでちゃんと聞こえていないのか喧嘩にはならなかった。
「今日はもう帰りますね。今日の試合楽しかったです」
ものすごく礼儀正しいな夏奈は。
「おい、待てよ」
部室に行くのに合わせて大我がついていった。
「よかったー。あんたが私以外の人に手を出してなくて」
ん?待てよこいつら。
「お前みたいなやつが、俺以外と付き合えるわけねーんだから感謝しろ」
「は?あんたがそれをいうの?」
なるほど。こいつら付き合ってるんか。
「いい人見つかってよかったね」
「だな。俺らももっと強くならないとだな」
「そうだね」
なんやかんやいい二人が見つかったな。今後もいいメンバー揃えてあいつらに勝たないと。
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