第4話 仲直り
「え!!と、桃花ちゃん!」
なんとか五分走を終え、部活も終わった。そして、部室に入った。案の定俺がかくまってたしいるのは当たり前。もう泣き止んで眠っていた。
「状況は後で説明するから。神奈斗の家行くぞ花南」
「わ、わかった」
あんなどうどうと寝ていたら違和感しかないよな。いち早く部室にきてよかった。あとは俺が桃花ちゃんをおぶっていけば何の問題もない。
「なるほどね。それで部室にいたんだ。なら安心した」
花南にしっかりと説明した。
「なにがだ?」
「だって桃花ちゃんならお兄ちゃんに好意はもう抱いてるし、でも恋愛対象にはならない。これなら私は安心できる」
こいつは俺に彼女を作らせる気ねーんだな。え、もし逆の立場だったらって?そりゃもちろんできたら笑顔で彼氏ぼこる。
「それにしてもよくねんなー」
結構揺れているはずだが、全く起きる気配がない。
「たくさん走って。怒られて、泣いたんだから疲れたんだよ」
「俺らって喧嘩したことあったっけ?」
ふと思ってしまった。あまり、こいつと喧嘩をしたことはなかったきがしたし。
「うーん。覚えてないなー。私お兄ちゃん主義だから」
お兄ちゃん主義とは俺に従うことだ。とはいっても、二人で意見が分かれていた時だけで、花南の人生全てを俺が指示したわけではないから勘違いしないでくれ。
「その言い方はやめてくれ。今度喧嘩してみるか?」
何へんなこと言ってるんだろう。だけど、こいつ喧嘩しても確実に数時間で解決する気がするけど。
神奈斗と桃花ちゃんの家に着いた。二人の家は俺たちの家の近くで小学生のころもよく遊びに行っていたから覚えていた。
「帰ってきたんか」
何か怒ってるというより呆れてるような感じで神奈斗が迎えてくれた。
「あんまし、怒んなよ。桃花ちゃん俺の学校の茂みで泣いてたんだぞ」
「は?何言ったんだ?おまえ」
桃花ちゃんからは今日は帰ってくると聞かされている。そういったにしては何かすんなりと迎え入れてるとよな。
「いや、ほら、桃花ちゃんに今日は帰ってくるなって」
「…なるほど。ちげーから。こいつが、今日はもうお兄ちゃんの顔見たくないから帰らないとかいってきたから俺も、なら帰ってくんなっていっただけだぞ」
神奈斗の言うことを信じるとしたらつまり、言い出しっぺは神奈斗でなく桃花ちゃん。おそらく桃花ちゃんはここで神奈斗と和解を狙ったのだが、すんなりと受け入れられてしまった。自分が言ったこともありやめにやめられずいなくなった。しかし、帰るとこがなかったから、俺と花南を待つことにした。茂みにいたのは泣いてるとこを誰にも見られないため。
「なんだよ。お前がめっちゃ怒ってると思ってきてやったんに。花南帰るぞ」
「…ムー」
なんだろう。花南からなんかさっきとは違って怖い視線を感じる。
「ど、どした?」
「桃花ちゃん。起きてるんでしょ?起きてるんならお兄ちゃんを独占しないで」
さっきこいつ桃花ちゃんなら大丈夫とか言ってただろ。まさか、もう限界来てしまったのか?それはそれでおそろしいな。
「ばれちゃった?さすが花南姉だね」
すごく元気な声が後ろから聞こえた。
「いつから起きてたんだ?」
「うーん花南姉が私なら安心できるといってた辺りから?」
それって外出てすぐのことじゃねーかよ。
「だったらすぐ起きろよ。こいつらまで巻き込んで」
神奈斗が少し怒ってる感じで桃花ちゃんにいった。
「だ、だって」
「はー。悪かったよ。別にお前がいなくていいとか思ってねーから。ただ、家から出ていくって言ったから乗ってやっただけだし、どうせ帰ってくるんだろうと思ったから乗っただけなんだよ」
うわーなにか正当なこといってるけど、こいつもシスコンなんじゃねーか。
「し、しってたし。まさかゆ、ゆうにが、うそなきにき、きずかないとおもってなかったらー」
何があっても妹は兄より上に立っていたいらしい。まためんどくさくなるだろうし、今日は桃花ちゃんにのってやるか。
「俺をだますなんてさすがは桃花ちゃんだ」
「ムー」
なんだろう。また、花南から怖い目線が。それよりほっぺ膨らましてるこいつかわいいな。写真撮りたい。とろうとしたら怒られるだろうけど。
「お兄ちゃん。桃花ちゃんに優しすぎ。それにいつまで乗ってるのそろそろ降りて!」
やっば、こいつ怒ってやがる。
「だって花南姉私なら安心できるんでしょ」
「っちょおま」
桃花ちゃんがさっきよりもくっついてきた。完全に挑発してる。
「それ以上近づいたら桃花ちゃんだって容赦しないよ」
やばいこいつ本気だ。結構ガチで嫉妬してる。
「花南もそう言ってることだし降りてくれ。俺がこの後何されるか気が気じゃなくなる」
「何その言い方!!桃花ちゃんは許すのに私には何もさせてくれないの?」
「だってほら、俺ら双子だろ後輩とは違うから」
「それでも私は妹だよ。妹に優しくするのは当たり前だよ」
「お前がそれを言うか。だったら帰ったら部屋を綺麗にしてやろう。お兄ちゃんだからな。いらないもん捨てるの手伝ってやる」
花南は基本バスケと俺以外のことは何も気にしない。そのせいで、部屋がものすごく汚い。
「そ、それはいいよ」
気を引いている。こいつは俺の部屋にくるくせに俺が部屋に入ることはかたくなに拒んでている。理由はだいたいわかっているが。
「俺優しいから」
「いいっていってるじゃん!!お兄ちゃんはおんぶとかしてくれればいいの!」
「俺は車か?帰りも自分で歩けないほどお前弱いのか?」
「弱くないもん。ほんとわかんないよねお兄ちゃんはずっと私といるのに私の扱いわかってないんだから」
自分のことを扱うってなんだよ。
「わかるわけねーだろ。お前、毎度毎度意見変わってんじゃねーかよ」
「ゆ、ゆうにいおちついてからかって悪かったから」
「ほらほら、お前らまで喧嘩すんなって」
「二人は黙ってろこれは俺らの問題だ」
「二人は黙っててこれは私たちの問題だから」
なぜかきれいにハモッてしまった。てか、これが喧嘩になるんか。だったら毎月一回くらいやってるな。っま喧嘩をしてれたことだし、もういっか。
「疲れたからやめねーか」
「お兄ちゃんがそういうならいいよ」
これは魔法の言葉である。「疲れたからやめよう」これを言うだけで、こいつとの言い争いは終わる。
「花南姉からかってごめんね」
「気にしてないから安心して。いろいろ後でゆっくりお兄ちゃんに聞くから」
言い争いは終わっても、気持ちは切り替えてない。だから、ここからは、一方的な質問攻めが来るのがいつものパターンだ。
「させてと俺らも帰るか」
「悪かったな。二人とも。この詫びはしっかりいつか返す」
「試合でだろ」
「当たり前。勝つのは私たち」
完全なる宣戦布告だな。
「たしかに桃花ちゃんも神奈斗君も強かった。私では勝てる気がしない」
お、こいつも乗り気か。だったら俺ものるか。
「一人でなら勝てないだけだ。俺と花南は最強のタッグ。返り討ちにしてやる」
これからさらに力が入りそうだ。地区大会。そこで必ずこいつらに勝ってやる。
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