第2話 混合バスケ

 神奈斗と桃花ちゃんが帰ってくることを知った放課後俺と花南が先生に呼ばれた。

「悪いな二人とも」

 そこには男子部長、東郷先輩と女子部長、緑川先輩の姿もあった。

「唐突なんだが、地区大会から新たなルールでのバスケ大会が開催されることになった」

 神奈斗の記事にあった面白いルールってこれのことか。

「どんなルールなんですか?」

「混合ルール。つまり男女合わせて五人で試合をするんだ。細かいルールは後ととして、うちの学校はこれで全国を目指す」

 全国。まだ一度もいったこのない舞台。

「行けるんですか?」

 東郷先輩に問いかけた。無理もない。もともと県大会には行けている程度の学校だ。

「行けるかはわからないが、うちにはほかには優位点がある」

「優位点?」

「花南だよ」

 花南が優位点。才能を考えればそうとも言えるが、それだけで全国行けると思えるのは理解できない。

「このルールでは偏りを作らないために男女合わせて最大14人。それは男女比率を

5:5。つまり、互いに7人ずつメンバーを入れることが出来る。さらに、試合では3:2にしないといけない。どちらにせよ男女の力の差を補う必要がある。だが、女子にして男子にも劣らない人間がうちにいる」

 この説明で大体理解できた。試合での5人のうち男女ともに最低でも2人は必要になってくる。そうなれば、男子のパワーと女子のテクニックを合わせることになると予想される。しかし、男のフィジカルには女が勝てるという状況がないとは言い切れないがほとんどの女子は無理だと先生は考えている。しかし、花南は違う。花南はスピードとテクニックでパワーを補っている。体力も男子との試合でも戦えるのは一年生の時に確認している。

「ですが先生。悠斗と花南をそっちに専念させるということは男女別の試合はどうするんですか?」

「だから、部活前に意見をもらうために来てもらった。お前ら四人はどっちの試合もでるというのはどうだ?」

 一種かけか。先生はこの四人つまり、部長と俺らは混合でやらせたいのだろう。しかし、戦力を考えて男女別のほうの試合を抜くわけにはいかない。これは負担がでかい。

「花南はどう思う?」

「うーんよくわからないけど。もしどっちも出ることにしたらどうなるんですか?」

「勝ち抜けば二か月ほぼフルに試合をすることになるかもしれない。いつもの大会に合わせて、混合がある形だ。だから試合がかぶるってことはない。しかし、いつもなら空いている週に混合が入る可能性がある。忙しい時はお前ら土日返上レベルだ。立場からしたら片方に専念させたいんだが、せっかく息の合った最強タッグがいるんだ。上は目指したい」

 俺は考えた。混合に神奈斗たちが出るのは確定している。だから、混合を出るのには変わりない。そして、あいつらはそれだけで終わるのだろうか。

 終わるわけない。あいつらは俺たちを倒すために帰ってきた。それは、一対一でもだろう。

「俺と花南はどっちも出れます」

 どうせやるのは分かっていたし花南の名前も上げた。

「そうかありがとう二人とも。それで東郷と緑川はどうする?正直無茶なのはわかっている。お前らの最後の一年だ。しっかり考えてくれ」

「わかりました。では俺たちは人選確保します。そのうえで、出るべきかどうか考えます」

「そうか。分かった残りの人選はお前らで考えてくれ。本人の許可がでれば、併用してもいい。責任はすべて俺にあるから」

「わかりました」


 話を終え、四人で体育館に向かった。

「悠斗お前からして、誰かいい人いるか?」

 もう人選のようだ。時間はあまりなさそうだな。

「そうっすね。純太と蓮花は確定でしょ。あの二人ならバランス的にもいいと思います」

 大事なのはただの実力だけじゃない。男女の相性が必要となる。それを考えれば、まずは、よく俺らとやっている純太と蓮花が適任だと考えた。

「なるほど、これで、6人。あとは8人を考えれば」

「え、他の人選もう考えてるんですか?」

「花南。私たちが本当に出ないと思ったのか?」

「え、だって」

 あの言葉しっかり考える時間が欲しいとしかとらえられないよな。花南もすごく戸惑いがある。

「どっちも登録はする。しかしだ。先生は俺たちが出れば俺たち中心で人選させるだろう。しかし、考えるといっておけば、中心はお前ら兄妹になる。そっちのほうがこちらとしても都合がいいし、男女別のほうの試合にも専念できる」

「だったら、そう先生に言えばよかったじゃないですか」

「それは面白くないだろ。東郷がまさか、私の誘いに乗るとは思わなかったが」

 まさか俺も花南も先生ものせられていたのかあの一言で。

「とはいえ、俺と緑川はあっちに専念するために基本はベンチにいる。何かあれば入る形だ。それ相応の人選を選ぶぞ」

「はい!」

 この部長は何を考えていらっしゃるのか。まだなんか裏があるんじゃないかってかんがえてしまうだろ。


「なるほど混合ね。お前ら二人とチームなれんのか。しかも公式で。だったら断る理由はねーな」

 純太は了承した。どちらにしてもこいつは三年生の層を考えても男子のほうで入れるのはベンチだ。こっちならほぼ確実にレギュラーにできる。それほど、こいつの全体の見る目は鋭い。だからやらない理由はないな。


「いいよ。花南の頼みなら」

 

 かすかだが、蓮花も了承した声が聞こえた。

「先輩先輩!!俺も入れてくださいよ」

 隣で盗み聞ぎしていた大我が声をかけてきた。

「お前は一年だ。別に入れてやらんわけでもないが、実績とか男女の相性とかいろいろ見るとこあるんだよ」

 地区大会から神奈斗がいる。それを考えるだけでもしっかりカバーできる人選にしたいよな。

「なら候補に入れててください。俺は頑張るんで」

「わかったよ」

 大我も早く試合が出たいんだろうな。


「もうゆうにいおっそーい!!」

 体育館の外から大きな声で呼ばれた気がした。ゆうにい?この呼び方って。

「せっかく親友がメールしたのにお前、無視とはひでーな」

  メール?やっば全く携帯見てなかったー。じゃなくて。この感じ確実にあいつらだろ。

「久しぶりだな神奈斗」

「ただいま悠斗。それに花南ちゃん」

「え、あれってアメリカから日本に来た中野兄妹じゃない?」

 だよね。こいつ一応有名人だったな。こんなオーバーな登場したら、目立つ。

「久しぶり桃花ちゃん」

「うん花南姉も元気そうでよかったよ」

 神奈斗も桃花ちゃんも見違えるほど成長している。神奈斗の高身長で筋肉がやばい。桃花ちゃんも身長が低いわりにバランスよく仕上げているおかげで貫禄がある。

「それで何しに?」

「俺らは隣の大河原高校に行くことにしたことを報告しに来た。あとは今の俺らの実力を教えてやろうと思ってな」

「その余裕っぷり変わらないな。花南どうする?」

「やろ!!久しぶりに」

「部長どうです?」

 俺らが了承しても部長の許可なくして試合はできないよな。

「ハーフルールで三本先取。それなら許可してやる」

「ありがとうございます」

 いい感じの全力を出せる時間だな。何よりみんなこいつらのプレイが見たいのだろう。

「んじゃま。始めますか」

 こんないきなりこいつらとやりあえるとは思っていなかったが、ここでこいつらの実力がわかればどのタイプの人がチームに必要なのか見えるかもしれないしいっちょやってみっか。

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