MixtureBasketball!

蓮蠱

第1話 ライバルの帰還

「花南速くしろって」

「待ってよー」

 俺、中野悠斗(なかのゆうと)は妹である中野花南(なかのかなん)と朝練に向かっている。俺たち兄妹は北野宮高校バスケ部に所属している二年生。同学年なのは俺と妹は双子だから。うちのバスケ部は県大会常連校。しかし、地方大会や全国大会にはいったことがない。そのため許可をとり、来れる人だけで朝練をすることになった。俺たちは電車通いでないため、毎回参加している。

 俺と花南は小学生の時からバスケを始めた。同時期に始めたはずだが、花南は俺よりもどんどんうまくなっていった。花南だけなら全国レベルともいわれるくらいに。その差がプレッシャーになり、一時期は花南を避ける時期もあった。しかし、今では、花南の実力を受け入れ追いつけるよう頑張っている。もちろん互いにシスコン、ブラコンといわれるくらいに仲がいい。

「お兄ちゃん。今日も走り込みするの?」

「もちろん。今の俺には体力が足りない。技術はあるが、試合で活かせてないし」

 練習でうまくいけた動きが試合ではまったくできないことが増えてきている。それは、体力を考えたプレイしているせいで行動ができなくなっているためである。そのため今は筋力トレーニングと体力をあげるためにランニングを欠かさず行っている。

「お前も去年みたいにやらかすなよ」

 花南は一年生の時成績が悪くて補修を受けた。理由としてはバスケ以外の面ではだめなところもあるが、それ以上にテスト期間になっても勉強せず提出物すらやらないでいる。毎度俺が助けていたが、少しでも危機感を覚えさせるために何もせずに放置したら進級試験を受けることになった。あの時はまじで、つらかった。俺も部活あるのに徹夜づけで手伝ったんだよな。

「べ、べんきょうはいいかなーって」

「今度は手伝わないぞ」

「っちょ。それはひどくない?」

 うちの学校は進学校でないためそこまでテストは難しくない。さらに提出物を出せばある程度赤点をとることはないようになっている。

「普通の人は一人でやってるんだ」

「そこはさ、協力しようよ。ほら、私に教えることでわかることとかあるかもよ」

 こんなこと言ってるが俺も俺だ。最終的には手伝う。だからこいつは何もしない。シスコンといわれるのも無理ないんだよな。だって妹世界一かわいいし。


 学校につくともう人がいた。来馬蓮花(きばれんか)。俺の同級生でバスケ部の中で一番真面目なやつだ。花南とは中学の時から仲が良い。

「蓮花おっはよー」

 花南が練習中の花南に飛び乗った。毎度思うのだが、制服でそれをやるのはダメなきがする。

「おはよ花南。悠斗もおはよ」

「おっす。っじゃ俺は走ってくるから」

 ボールを持つと時間をは擦れるため真っ先にランニングをすることにしている。朝練は約一時間だし、そこまでしっかりとしたことができるわけでもないが、朝からランニングことが日課になってからは効率よくできるようになっている。


 約二十分ランニングをし、体育館に戻った。するともう毎日来ているメンバーがそろっていた。

「悠斗アップはすんだようんだ」

 部長の東郷大輔先輩。頼れる先輩で、ものすごくガタイがいい。筋肉マジでやばい先輩ってわけ。

「うっす。早速始めます」

「とりあえず、純太のとこまざれ」

 東郷先輩も今の俺の状況を理解し別メニューでの練習を許可してくれている。うちの学校は一人は経験者でもう一人は未経験者だ。そして、朝練は未経験者のほうの先生が見てくれている。とはいっても、指示とかはなくギャラリーにいるだけって感じなんだけど。だから朝練は基本、男子は東郷先輩。女子は、女子バスケの部長の緑川佳(みどりかわけい)先輩の指示のもと練習している。

 純太というのは同級生の三井純太。こいつは高校からバスケを始めたらしい。実力は俺らよりは劣るが、未経験という点で見れば相当強くなっている。

「よ、純太」

「お、悠斗アップ終わったんか。今はレイの練習してる」

 レイというのはレイアップシュートの略称である。レイアップシュートとはゴール下でのシュート全般をさしますが、一般的には「走りながら打つシュート」のことを表す。実際レイアップシュートのことをレイと略しているのかはよくわからない。

「わかった。っじゃまざるわ」

「お、先輩今日はこっちなんですね」

 そう声をかけてきたのは一年生の小野大我(おのたいが)。まだ入学式を迎えて間もなく本格的に部活に参加をしていない一年生なのだが、もうこいつは部活動に参加している。

「っよ大我」

「そうだ。俺さっき無理いって花南先輩と試合したんですよ」

 大我も経験者ってこともありうまいはうまい。しかし、花南を相手にできるほど強いわけではない。花南は試合が好きだし頼まれたら誰ともでもするようなやつだからやれたって感じだろ。

「っで結果は」

「こいつ花南ちゃん抜いて一本決めたんよ。結果は10-2で惨敗だったけど」

 純太が話に入ってきた。

「すげーな。もう点とれるようになったんか」

 俺ですら花南の癖について攻撃しないと点が取れない。だからこそこの一点のすごさがわかる。

「ほんっとすか!!ありがとうございます」

 すごくうれしそうだ。

「とはいえ、そのあと花南ちゃんが向きになってありえんほど速くなったんだけどな」

 あいつらしいといえばあいつらしいか。負けるのが嫌というより、年下に点を取られったってほうだろうな。

「先輩の知り合いで年下で花南先輩に勝てたの俺くらいでしょ!!」

 一点が相当うれしかったんだろうな。勝ったきでいるし。

「いや、あいつを止めれる人なら一人は知ってるぜ」

「へー。誰っすか?」

「小学の時仲の良かった兄妹。一人は男が同級生で妹が一つ下。アメリカに行ったんだよ」

 この二人は中学に行くときに親の事情でアメリカに行くことになった。その時点で俺の周りの中で花南を止めることができたのはこの兄妹だけ。花南が成長したとしても、アメリカで経験を積んだやつらだ。実力で言えば花南なんて日でない可能性だってある。

「宮川神奈斗に宮川桃花だろ」

「何で知ってるんだ?」

 高校からバスケを始めたはずの純太が二人のことを知っているようだった。

「え、なに。お前ら情報雑誌とか見てないの?」

「みる必要ねーだろ。時間の無駄だ」


「おいお前ら!何さぼってんだ!練習しろ!!」

 三人で話をしていると逆のリングのほうから部長が怒鳴った。

「やっば。話はあとだ」

 そこからは三人とも無言になって練習をした。


 そして、練習が終わり、教室に向かう途中に純太にさっきの続きを聞くことにした。

「ほれ」

「何々。どうしたの?」

 っひょこりと現れた花南とその後ろを歩く蓮花。花南だけは教室が違うが、どうせ隣だしだいたい四人で歩いてる。

「この二人って」

 俺も花南もバスケ雑誌の中にある写真を見て一目でわかった。そこにいたのは中野神奈斗(なかのかなと)とその妹(なかのとうか)だった。

「こいつら、日本からきた天才といわれてるらしいんだわ。だから日本の雑誌でも注目されている」

「ってかお前毎回買ってるんか?」

「お前らに勝つためにしてるもんだ。むしろお前らが買ってないの驚きだよ」

「そりゃ人の記事見てるより、作戦練ったほうがいいからね」

 なんかさっき今の花南と似たようなことを俺が言った気がする。

「それでだ。今シーズンの目標のとこ」


 純太が指したところにはこう書いてあった。


 日本で面白いルールのバスケが設立されるらしいから帰国することにしました。理由としてはこのルールで勝ちたい兄妹がいるんで。

 

 それに対して記者から今の二人なら日本人で勝てる人はいないのでは?と聞いている。それに対して、桃花ちゃんが


 たしかに1対1なら負けないと思う。でも、私たちはアメリカに行く前に惨敗しました。もし、その二人が続けていたら脅威になるのは間違いないと思います。


 そして、神奈斗は最後の一言をこう記事に書いてあった。


 俺らは城戸高校に行くことにした。だから地区大会から対戦できる。楽しみにしとけ、Y&K!!


 Y&K。つまり、悠斗&花南。完全なる宣戦布告だ。さらに城戸高校(じょうとこうこう)は、俺らのいる北野宮高校とは三駅違い。この学校から一番近いともいえる。狙ったようにしか思えない。

「帰ってくるんだ二人」

「なんだお前もおびえることあるんだな」

 俺をぎゅっとしていた手から花南の震えを感じた。

「何言ってるの。ワクワクしてるだけだよ。安心して」

「それよりもこの面白いルールってやつだよ。まだ公式にも載って情報らしいんだけど」

 おそらくあいつらの親関係だろ。バスケ関係の少しお偉いさんだし。それきっかけでアメリカに行ったというのあるくらいに。

「どっちにせよだ。あいつらが、こういったんならやるしかないな」

 二体二ならわからない。この時点で、俺と花南。そして、神奈斗と桃花ちゃんがぶつかる大会。楽しみすぎんだろ。

「当たり前だよ。私たち二人に勝てるわけなんてないんだから」

 二年生始まって早々面白いことが始まろうとしている。俺たちの新たなスタートとしてはもってこいのシチュエーションってやつだ。


「久しぶりの日本だー!!っでどうするお兄ちゃん?」

「とりあえずメールでもしておくか」

「早くあいたな―。二人とも元気かな」

「元気でなくては困る。帰るか。桃花」

「うんお兄ちゃん!!」



 

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