番外編②『本当のあなたはどっちなの?』

楽しかったオフ会の帰り、僕は霧野さんに呼び止められた。


「ねぇ、叶さん、もう少しだけ付き合ってくれませんか?」


彼女は少し顔を赤らめ、フフフ、と妖艶な笑みを浮かべた。

時間はまだ早い。彼女も僕も宵の口。もう一件ぐらいはいいだろう。


が。気付いたときには、僕は彼女の部屋で転がされていた。

しかも霧野さんの手には目にも鮮やかな真っ赤な鞭が握られていた。


ビシッ


一振りで思わず悲鳴を上げてしまう。


「叶さん、今日こそあなたの本心が聞きたいの」

「霧野さん、これは……」


言い終わらぬうちだった。


「霧野サマだろっ!」

「き、霧野サマ……どうしてこんな」


「あんたはいっつも言ってるよね、自分はノーマルだって。でもおかしくない? あんた変態の館の主人を名乗ってんじゃん。それって矛盾してない?」

「あ、あの、霧野サマ……」

「まだあたしの長ゼリフの途中だろっ!」


ビシビシ、ビシッと、今度は右から左から鞭の雨が降り注ぐ。

痛い。でもそれだけじゃないのは気のせいか?


「さぁ、続きいくよ。アタシが知りたいのは、アンタが変態かどうかってコト。あんな作品やこんな作品がいい例だけど、たしかに真面目な作品もたくさんある。作品だけじゃ何とも言えなのよね。そもそも本当はそうなのに自覚がないだけかもしれない。それともあんたの自覚する変態は一般基準から最初からそれてて、その基準だとノーマルだと設定しているだけなのかもしれない。そうなると価値観の違いが原因ってだけで、世間的にはアウトでもやっぱりノーマルなのかもしれない。もう一つの叶性は、ここ、笑うとこよ。叶の性で叶性。それたわね。可能性は全て承知したうえで、照れ隠しに道化を演じているかもしれないってコト」


ビュッ。また鞭が鳴ったが、今度はフローリングの床を叩いただけだった。

だがそのフローリング、ピシっと亀裂が入っていた。


僕のコメカミにツツッと冷や汗が流れる。

これは正直に答えないと、マジで殺される。


「さて。で、本当のところどうなの? 叶さん、あなたは変態なの? ノーマルなの?」


僕の前におなじみの二択が提示されていた……


※ここまで




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 その時…ッ!


「フォォォォォーーーーッ!

 エクスタシィィィィィーーーーッ!」


 霧野さんに、鞭で激しく責められた事により、

 ボクの中の、目覚めてはいけない部分が目を覚ました…ッ!



「な……ナニ…ッ⁉」

 おののく、霧野さんを尻目に…ッ!



「エェェーーーーイ…ッ!

 服など着ていられるか……ッ!」

 ボクは衣服を凄まじい勢いで…ッ!



脱衣クロスアウッ……‼」

 軽々と脱ぎ捨てて行く…ッ!



 そのまま…ッ‼


「な…何なの…ッ⁉

 いったい……何なの…ッ⁉」

 女王様よろしく、

 鞭を振るってよろこんでいたはずの霧野さんですら、

 この展開に追い付けない…ッ‼



 ズボンのポケットに忍ばせていた、

 女性モノの下着を被り、

 パンツ一丁の…私…ッ!



「や…やめて……叶君…ッ‼

 その……神龍シェンロンすら出て来そうな……!

 ど…ドラゴンボールを…ッ!

 ち…近付けないで…ッ‼」

 必死にわめく霧野さんの頬に…ッ‼



「それは私のゴールデンボールだ…ッ‼」

 私の自慢の…オイナリさんを付着させ…ッ‼

 グイグイと押し付けまくる…ッ‼




「い…イヤァァァァァーーーーッ‼」

 昇天する霧野さん…ッ!




「そう…私は…『変態』だ……ッ!

 成敗……ッ‼」

 そのまま……ヘブンズドアをくぐる霧野さん…ッ‼



 だけど…まだまだだ…!


 まだまだ…ヘブンズドアをくぐった後の…!


 賢者タイムは…始まったばかりなのだから…ッ‼



「レッツ…! ショウタイム……ッ‼」

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