問⑦【良い話と悪い話】

 それはいつもの他愛ない会話の中に突然現れた。 


「……良い話と悪い話があるんだけどさ」


 大好きなキミの笑顔から出てきたのはそんなセリフ。


「う、うん」


 もちろんボクはその唐突さにかなり困惑していた。

 それでも表情には出なかったと思う。


 一呼吸置いてから、彼女は静かに続ける。


「……どっちから聞きたい?」


 良い話と悪い話。

 いったいなんだろう?

 ボクには予想がつかない。


 この場合は……どちらから聞くべきなんだ?


 ※ここまで




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 やっぱり、後で悪い話を聞くと、ガッカリ感が凄いかもだし、

 まずは、悪い話から聞いた方が良いかな…?



「じゃ…じゃあ…悪い話の方からで…!」

 ボクは、そっちを先にする事を選んだ。



「実はね……私……人妻になろうと思うんだ…。

 関川君には…黙ってて…ゴメンね…。

 ちょっと…唐突に…好きにっちゃって…。

 こんな急に言われても…困るとは思ったんだけど…。」

 そう、彼女は、済まなそうな表情をした…。



「……そっか…。

 うん…でも…好きになるって気持ちは…。

 急にいて来るモノだろうし…。

 なかなか…自分じゃ制御できないだろうし…。

 それは…仕方ない…うん…仕方ないよね…。」

 と、苦笑いのボク…。



 ホントは…ボクが…。

 君の一番にりたかったなんて…。

 もう…言えないな…こりゃ…。



 そう思うと…。

 自然と笑顔がいて来た…。



 人間って不思議だと思った…。

 こんな時でも…笑顔がくなんて…。



「で…良い話の方も聞かせてよ…?

 悪い話だけ聞くだけじゃ…ちょっと…。

 笑いが足りないだろうしさ…。」

 そう言いながらも…。

 自然にく笑顔で彼女に問うボク…。



「ふふ…。

 じゃあ…言うね…。

 ここまで聞いてくれたお礼に…。」

 と…彼女も…はにかみ…。



「その嫁ぎたい旦那さんが…関川君だって事…!」

 と、ニッコリした笑顔で継げる。



「実は……お腹に…。

 関川君との天使が宿っちゃってね…。

 これは…責任…取って貰わなきゃって思って…。」

 と…なおも…ニッコリと告げる彼女…。



「ぼ……ボク……ボク…ッ!」

 自然と出てた笑顔のままで…ポロポロと涙が落ちた…。



「あれ…? オカシイなぁ…。

 こんなに…こんなに嬉しいのに…。

 人って…悲しい時にも笑顔になって…。

 嬉しい時にも…涙が…涙が出るんだね…!」

 ボクは、彼女を抱きしめた!



「ホント…ピュアなんだから…。

 でも…そういうところが…。

 本当に…本当に…とっても好き…!」

 彼女が唇を重ねて来る…!



「ホント…責任……取ってよ…?

 こんなに好きにさせた…!」

 ボクたちは…。

 それから人目もはばからず…。

 何度も…何度も…唇を重ねた…。



 そして…唇を…少し放して…。

「どっちも…良い話だったじゃないか…。」

 そう微笑ほほえみながら言うボクに…。



「こういう風に言った方が…。

 普通に言うより…。

 後で…もっと思い出に残るかなって思って…。」

 と、彼女はほほ上気じょうきさせて言う…。



「うん…凄い体験を…ありがとう…!」

 ボクは再度…彼女と唇を合わせた…。

 それまでより…深く…深く…!

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