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@ruma-iro

第1話

……xに代入……したがって、


 ようやく、解き終えた解をノートに書き込んで、俺は小さなため息と共にペンを置いた。目を左手で押さえつつ、顔をあげる。

 数学の宿題だったのだが思いの外手間取った、と分かりきった状況を再認識して、椅子にもたれかかる。チラリと視界の端に映る時計はもう11時半をまわっていた。背もたれに体重を乗せたままの姿勢で、脚で机を蹴って椅子を回転させ、横のベッドからスマホを取る。

ぽちっという振動を感じながら、電源を入れて、あらわれたロック画面に思わずにやける。

 パスワードを入力して、ロックを解除すると、ホーム画面のLINEアイコンに、32件の表示が出ている。トークルームを確認すると、クラスのグループのメッセージが大半だった。さして、興味のある内容でもなく、適当に返信を打ち込む。大方、それで全てだろうと、アプリを閉じて、まだ3件の表示に慌てて再度呼び戻す。未読のメッセージはすぐ見つかった。

 ユナ、とそのアカウント名を見て、おっ、となる。彼女とは付き合ってもう3年になるか。

 

 宿題終わんない(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

 ところで、まだ起きてる?

 愚問だったかなぁ?


メッセージの受信時刻を見ると、30分弱くらい前になっている。今ならまだ、向こうも起きているだろう。なんと返そうかと一瞬考えて、結局シンプルに文を作る。

 

         さっきまで、宿題してた。

       何気に難しくて手こずった。

               どうした?

思った通り、すぐに既読がつく。

 特にこれといった用事はないよー

 けど、ちょっと話さない(・・?)

断る理由があるはずもない。

                 d( ̄  ̄)


……………

次に気づいた時、もう日付が変わっていた。しまったな、と思うも、どこか満足気な自分がいる事に苦笑する。

                おはよう

 えっ(OvO)‼︎          

          もう日付変わってるよ

 ホントだ‼︎

             やっちまったな

 明日は2人揃って寝不足だねぇ。

                 せやな

 もちろん

 怒られる時は2人一緒だよ!

             望むところだ!


 それじゃ、そろそろ寝ないと。

            おう、おやすみ。

 おやすみなさーい(( _ _ ))..zzzZZ


スマホを閉じて、机の上に置く。

立ち上がって、部屋の電気を消して、ベッドに寝転んだ。

疲れているはずなのに、気分は楽だ。

明日の事を考えつつ、ゆっくりと目を閉じた。


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