第31話 ハーナの心


「ハーナ、どうしたの、頼みに行きましょうよ、マネージャーの私が頼んでもキャプテンサマーウインドが「うん」とは言わないのよ」


宇宙ステーションの一室でハーナと二人は話していた。


「キャプテンサマーウインドが航行出来ない、危険だって言っているのよ、無理よ。エンランのためにキャプテサマーウインドが死ぬなんてあってはならないことだわ。まだ完全に嵐が静まっていないのに」

「でも総司令部と航路安全局がキャプテンサマーウインドなら大丈夫だろうって」

「だろう、でしょう? 本人が無理だって言っているのに、ひどい話じゃない」

「ハーナ、それにその・・・本人が頼みに来ないって言うのはどういうことかって、森のハーナは常識的な子だって聞いていたと言われたの・・・」


「・・・・会いたくない・・・・」

「どうして? 」


「だって・・・・・ブサイクとか‥言われるかも・・・」


「ハーナ! もしかしてあの変な質の悪い意見を真に受けたの? どうしたの、いつもエンランは顔でしない、男はそうなのになぜ女だけそれを求めるのかって言っていたじゃない」


「だって・・・復活の全宇宙大会だったら、草原の妖精の方がふさわしいでしょうし、私が欠場だったら彼女が出ることになるかも」


「それはないわ、急に出場はありえない。ハーナ、やれやれ、遅い思春期なのかもね・・・ハーナ、あなたの容姿はいい方よ、気にしてはだめよ。ルート係が言っていたでしょ、心理作戦だって、あなたは優勝候補筆頭なのよ、セキュ=レンだって「皆がライバルですが、特にハーナが」って言っていたでしょう? 

そのセキュ=レンが欠場だったら、ハーナ、今までの経験と今の調子からして最高なのよ、絶対に勝てるわ、二人目の女性の宇宙覇者になれるのよ! これがどんなに女性の励みになるか!! 」


「そうね・・・・心理戦なのかな・・・」

「とにかくキャプテンサマーウインドに直接会いましょう」

「でも・・・かっこいいんでしょ・・・」

「ハーナ、私たちは本物の男優さんに何度も会っているでしょ? 彼はカッコいい普通の人よ」

「そう、厳しいわね」

「行きましょう、キャプテンサマーウインドはここで足止めをされているから不機嫌なのよ」

「そうなのね、わかったわ、エンラン協会の人と総司令部の人も呼んで、キャプテンサマーウインドと直接話します」


「ハーナ!! その調子!! 試合前みたいよ!!!」


キャプテンサマーウインドの船のデッキに向かった。


 


そこにはすでに総司令部と航路安全局、エンラン協会の人がいて、キャプテンサマーウインドが彼らに向かってかなり怒っていた。


「何度も言わせるな、俺を殺す気か!! まだ残骸が残っている状態で航行させるなんて無茶な話だ! 船が通れば残骸は引き寄せられるって、この前証明したばかりだろう? そんなにハーナともども殺したいのか? エンランは賭けの対象からは外されているはずだろう? それとも何か、不正にお前たちがやっているからなのか!! 」

「それは暴言ですよ、キャプテンサマーウインド! 」

「暴言もくそもあるか! 俺は死にたくないし、この航路は特に重要だ、これ以上残骸を増やすわけにはいかない、航路安全局は何を考えてるんだ! どういうつもりだ! 」


「わー、最悪な時に来てしまった・・・ハーナどうしよう」

その姿を見て、むしろハーナはすたすたと彼らの方向に歩いた。


「すいません、キャプテンサマーウインド、ハーナ=ルイです。

私、今回の出場は辞退いたします。すいません、もっと早くお伝えするべきでした」

「ハーナ!! 」「嘘!!! 」「ハーナ!! 何を言っているの? 」


「キャプテンサマーウインドのおっしゃる通りです。私たちが死ぬだけでこと済まないのです。私も死んだ上に、長い時間、他の人を道連れにするようなことは、絶対にしたくありません。エンランはスポーツです、見ている人を楽しませるものです。その私がそんな最後であってはならないし、なる可能性があることはしてはいけません。

今回、私は出場しません、総司令部にも、大会本部にもそうお伝えください、それでは。すいませんでした、キャプテンサマーウインド」


しばらくサマーウインドは黙っていたが

大きくため息をつき


「本人が一番話がわかる」

そう言って自分の船に戻った。




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