第10話 理解犬
「で、嫌な話もあるがロロ」
「それは大丈夫! ひどいんだよ! クリーム先生」
俺はその子が柵をとても嫌がっていること、柵が無くてももう落ちることはなくなったことを話すと、すぐに
「それは医療スタッフが悪い! 子供が嫌がるんなら、知恵を働かせて他の物に変えればいい、クッションとかもう少し広くするとか」
と怒るように言った。
「そうだろう! やっぱりクリーム先生はわかってくれると思ったんだ! 」
「それで楽しそうについてきたのか? 」
「うん! クリーム先生はやっぱりすごいや! 立派ですごく優しい! 」
「そうだろう? 皆わかっていないんだ」
「うん・・・でも・・・」
「でも何だ、ロロ」
「皆わかっていないって言うと・・・嫌われちゃうかも」
「お前は・・・サマーウインドと同じことを言う」
「キャプテンサマーウインド!! 会ってみたいな!! キャプテングリーンはうっすらとしか覚えていないけど、かっこよかったよね、お母さんが「王子様みたい」って言っていたけど、キャプテンサマーウインドはそれとは違う感じでかっこいいって聞いたけど」
「残念だが会わしてやることはできないが、私としては・・・ヤーマの方が良いんじゃないかと思うが」
「知ってる!! 図書館で見たって人がいる!! 」
「内緒だぞ」
「わかっているよ、宇宙の六人のことはあんまり言っちゃいけないんでしょ、キャプテンたちが疲れているから。先生がそう言う規則を作ったの? 」
「規則? 思いやりだよ」
「クリーム先生優しい」
「お前もな、ロロ。勇気がある」
「俺ね、ケガをして入院してからの方が 強くなったみたい」
「そうか、回復も早いようだから、そんなに病院に長くいなくていなくてもだな」
「本当! うれしい!! 」
俺の方が、クリーム先生にすりすりとした。先生に抱き着いている子供は沢山いるけれど、その回数では今でもベストスリーに絶対入っていると思う。
「さあ、私もそろそろ戻らなければ、ロロ、友達には今夜から心配しなくていいと伝えてくれ」
「うん! 」そうして二人で部屋を出ようとしたとき、
思い出したように先生は俺の顔をしっかりと見た。
ドキッとした。
「ロロ・・・お前・・・もしかしてあの医療スタッフの頭に、わざと図鑑の角が当たるように投げたのか? 」
「い? 」 なんとも言い難い声をその時に出してしまったので
「わざとか!! 投げて遊ぶくらいは大目に見ていたが、図鑑の角は危ないじゃないか!! 」
「あの本はそんなに重くないから・・・大丈夫だよ・・・」
「義手で投げたんだぞ! 威力が違う! 」
「ああ! そうか!! 」
俺は発見を喜んだけれど、角のことはさすがに怒られた。でも
「本の角を当てるか・・コントロールと勘が良いんだな・・・」
ぽつりとクリーム先生が言ってくれた。
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