第7話 寂しさとの戦い
「本当に大丈夫? ロロ」
「大丈夫だって、お母さん。弟も妹もいるんだから、早く帰ってやって、そう言えば兄ちゃんもいたか」
「でも・・・」
「経過は極めて良好です。成長の度合いがあるので、義手義足の具合が難しくなりますから、一年ほどロロにはここで過ごしてほしいのです」
クリーム先生がお母さんに落ち着いて説明したので、手術後一か月でお母さんは星に帰っていった。
「無事に着いたかな」とその日、ベッドから夜空を見上げていたら、何だかとても不安な気分になった。あるはずの手足、本来なら細胞の増殖によって新しい手足を作ることができるはずなのだが、俺は手術直後の、クリーム先生たちの会話を聞いていた。
「指の神経細胞も完全に閉じてしまっていますね、これでは・・・」
「無理にこじ開けると、最悪一つでも残っていた菌が増殖する可能性だってある。残念だが、義手義足にした方が良いだろう。グリーンが自分を責めていた。「エンランを見せない方がよかったかな」と」
「キャプテングリーンは俺がそうなるって思ったのかな・・・」
何となく気持ちが落ち込んでいった。
でもそんな時にはすぐにクリーム先生が来てくれて、子犬のように「スリスリ」としてくれた。それだけで俺は笑顔になれたし、先生も安心したようだった。そして先生から
「早めに義手義足になれた方が良い、ロロ。歩く感覚を忘れてしまったら、大変だから」と早速歩行練習が始まった。
「木なの? 」
「一番最初はそうだ、まるでエンランの選手みたいだろう? この病院からエンランの選手になった人もいるから、もしかしたらセセキュ=レンも使ったかも」
「本当!! 」
この言葉は、どの先生も言うらしくて、でもこれが最高の励ましにもなっていた。
「そうか・・・義手義足ってことはエンランの選手になれるんだ」
あの禁断の森から、俺は小さな種をもらって、それが本当に小さな生まれたての黄緑色の芽を出したような気がした。
歩行訓練は最初は痛かったけれど、徐々に慣れていった。でも手の方はエンランの選手が使うような、本物の手の様ではなかった。最初はヘラのような形で、先の方がちょっと曲がっている。真ん中は完全に細長い穴が空いていた。
「そっか、この穴に引っ掛けるように何かを置くことができるんだ」
それに気が付いた時、六人部屋の病室の同じくらいの子たちが集まって話をした。
「なあ、小さな紙でもいいから、それを投げて遊ぼうぜ」
病室から外へ出ることのできない僕たちは、小さな遊びを始めた。
それが、部屋のカレンダーとか目標物を置いてなど、どんどんクリアーしていくと、今度は「動くもの」を狙うようになった。医療スタッフの押してくるワゴン、もちろん機械に当たったらいけないことぐらいはみんなわかっているので、側面とか、車輪とかを狙った。
それしか楽しみのない状態の子供たちには、上達と更なる興奮しかなかった。
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