交渉の結果

 

 

 交渉はあっさり終わった。


 土地関係の交渉だったためもう少し時間がかかると思っていたんだけど、とんとん拍子で話はまとまった。


 俺が交渉材料として提示した土地はフィオレ伯爵が手に入れ、俺はライカル湖およびその周辺の利用権、開発権を手に入れた。

 俺が手に入れた権利はまだ効力を発揮していない。


 もともとフィオレ伯爵も所有地として扱っていなかったため、その申請を進めた後、俺の方に権利が来ることになっている。

 今回の件はしっかり契約を交わしているので、後日知らないふりをされる可能性は低いと思うが、相手が貴族ということもあるため、しばらくはちゃんと確認しながら先に進めていく必要があるだろう。


 まあ、伯爵と言葉を交わした限り、不義理を働くような方ではなかったので杞憂だとは思うが。


 さて、権利を手に入れてあれこれできるようになるまで、できることはいろいろやっていかないといけない。スゥのこともあるからできる限り早く計画を進めていきたいし、時間をかければそれだけ無駄に金もかかってしまう。


 とりあえずライカル湖に戻って、あれこれ進める前に周辺の調査をしないといけない。大規模に土地を開発する弄る予定はないが、何をするにも周辺地理を知っておいて損はない。理想は地図が作れる程度までライカル湖周辺の土地を把握することだ。


 しかし、ライカル湖の周辺を調査することはそう簡単にはいかない。

 この前戻ってきたときに一度遭遇というか見かけたが、ライカル湖周辺は凶暴な獣が生息している場所でもあるので、ただ調査するだけでも戦う訓練なんてしたことがない俺一人だと、普通の獣であっても危険なのでしっかり守ってくれる相手は必要なわけだ。

 

 ライカル湖に戻って来た時に別のウンディーネが倒していた獣はスゥも余裕で倒せるらしいので、たぶん大丈夫なはずだ。倒せると言った時の様子が少しおかしかったので若干の不安は残るが、最悪スゥと一緒に水の中に逃げ込めば何とかなるだろう。


 本当にダメそうだったら別の誰かを雇う必要があるんだが、家の商会の伝手を使うとしてライカル湖の調査のための護衛が捕まるかどうか。


 俺を探しに来た調査隊の人達は、危険と言われている部分へ俺を探しに行く予定はなかったと聞いている。それでもライカル湖周辺の調査ということで結構な金額を報酬として受け取っている。

 ライカル湖に関わらず、危険な場所の調査や護衛は高額になるものなのだ。


 それを考えると、あの人数を雇う予定はないが調査する期間は確実に長くなる。さらに今回俺が求めている危険な場所も含めたライカル湖周辺すべての調査となれば、どれだけの金額になるか考えたくはないな。


 まあ、これはスゥでもどうにもならなそうだったらの話だ。

 スゥは俺よりも力が強いし、ウンディーネとしての力も持っているからよほどのことがなければ大丈夫だと思う。

 むしろ俺が足手まといにならないようにしないとスゥを危険にさらす可能性があるから、そこは本当に気を付けないといけないな。


 

 

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