閑話 戻らない彼

 

 ルークがここからいなくなった。


 さみしい。

 すぐに戻るって言っていたけど、すぐってどのくらい? 明日?

 ううん。そんな訳ないのはわかってる。


 私たちは人とは違う。考え方も違う。


 私は今まであまり先の事は考えていなかった。でも、ルークは違う。いっぱい考えてる。


 質問すれば答えてはくれるけど、すぐにじゃない。いっぱい考えてるんだと思う。上手に話せていない私にわかるようにしてくれてる。ありがとうって思う。


 でも、すぐに答えてくれないと、私が何か変な事を言ったんじゃないかって不安になる。


 ガランとした寝床をみる。


 昨日まで、ここにいても気にならなかったけど、何か足りない感じ。ここにあまり居たくない。


 そう思って私は寝床から外に出た。



 お腹がすいたのでご飯を取って寝床に戻って来た。

 4匹も取って来たから抱えるのが大変だけど一杯食べれるから……あ、そういえばルークが居ないからこんなに要らなかった。忘れてた。


 取っとく?

 ……駄目。これはすぐ食べないと臭くなる。後で食べるのは無理。焼く、すれば少し大丈夫になるけど、私はあの赤いのは出せない。


 取ったご飯は全部食べないと駄目。お母さんに怒られる。もう会えないけど見つかったら怒られると思うから、食べなきゃ駄目。


 ……ちょっと小さいから頑張れば食べられるはず。


 味は普通。いつものやつ。

 そういえばここで食べる必要もなかった。

 ここのところルークと食べていたから癖になっているのかな。


 なんだろう。おいしいけどおいしくない。食べなきゃだめだから食べるけど、あまり食べたくない。


 ふぅ。ちょっと時間かかったけど全部食べた。お腹いっぱい。でも、何か物足りなく感じた。




 どれくらい経ったかわからないけど、ルークは戻って来てない。


 すぐじゃなかったの? もしかしてもう戻ってこない?

 不安。

 私はまた1人になるの?


 寝床の上で横になる。あまり動きたくない。


 さみしい。


 っ!

 ルーク帰ってきた!?


 ああ! ルークに渡した私の魔力石が近くにあるのがわかる!

 ……でも何で湖の近くで止まってる?


 わからない。でも戻って来た。迎えに行かないと!


 そうして私は急いでルークの元へ向かった。



 湖の近くにルークは居た。でもその近くに誰かが居る。


 あれ? あの人時々見かける私と同じウンディーネ。いつも睨んでくるから話したこと無い。


 でも何でルークと話している?

 まさか、ルークを連れて行く気? 私からルーク取るの?

 それは駄目。絶対駄目。

 取られる前に迎えに行かないと。


 そう思って私は一気に湖から飛び出してルークを寝床に連れ戻った。

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