光るガラス?
ここに来てから4週間くらい経った。さすがにもうそろそろ家に帰らないと拙い気がする。おそらく俺が居なくなって直ぐ、父さんのことだから行方不明扱いにしているとは思う。少なくとも、そのまま放置はしていないはずだ。
行方不明扱いになっていることを考慮すれば、後2か月弱はここに居ても大丈夫だとは思うが、さすがにギリギリまでここに居るのはリスクが高い。
少なくとも移動に時間は掛かるし、カイラの実家が難癖をつけてくる可能性もある。なので、その辺りの時間を余裕をもって計算すると後1か月は居ても大丈夫なのだが、正直この洞窟内にずっといるのは堪える。
そもそも、やれることが無い。まあ、要は飽きて来たのだ。確かにスゥと居られれば多少は誤魔化せるが、スゥは魚とかを取りに行っているからずっとここに居る訳ではないし、その時間は俺にとっては完全に苦痛だ。
そもそもこの洞窟は光源があって明るいのだが、日の光ではないから調子が狂って来ている感じもある。いや、今更だけど、この光の基って何だ?
洞窟の壁に埋め込まれたガラス玉みたいな物から光が漏れているのだけど、直接それを見ても眩しくて眼が痛くなることは無いのだよな。太陽は直接見ると眩しすぎるのだけど。それと、触った感じは堅いな。
「ルク。なにしてるの?」
「ん? あぁ、この光の基になっているやつって何なのかなって思ってさ」
「え、あ…それは、えと、わたしの魔力でつくたやつ」
「魔力で作った?」
このガラス玉みたいなやつって魔力が元になっているのか? 確かに不自然に光っているから、変ではない……かな。
スゥの魔力か、と思いながら撫でてみる。
魔力石みたいな物なのかな。石みたいに硬いけど、つるつると言うよりは少し撫でた時に抵抗を感じるな。肌を撫でたくらいの抵抗? 見た目は透明でつるつるしていそうだけどそうではないようだな。
ただ、何でスゥはちょっとだけ言い辛そうにしていたんだろうか。もしかしてこれをスゥが作ったと知られるのに何か問題でもあるのか?
「ん。そ…う」
いや、何でそんなに恥ずかしそうにしているの!? 何かもじもじして可愛い。いやいや、何でそう言う反応になるんだ?
「えっと、俺、スゥが恥ずかしがるようなことを何かしたか?」
「それ、わたしの魔力…もとになてる。それにまだつながてる」
「つなが……繋がっている?」
「ん。だから、それさわられるとわかる」
魔力で作られているからわかる? もしかして、この光ってスゥが魔力を通しているから光っているのか? いや、もう一度触って確認しよう。今度は爪で引っ掻いてみる。
「ひゅあ!? あの、ルク?」
「本当につながっているのか」
「そう、いった」
さわられている感じになると言っていたけど、何か今、結構際どい声が出なかったか? 顔も真っ赤になっているし、凄く恥ずかしそうだ。
本当に触られている感覚だけか、これ? 何か別の……いや、まあ、これ以上は変なことを考えそうだ。これはここまでにしよう。
まあ、反応を見る限り確かにつながっているのだろう。もっと弄ってみたくはあるけれど、これ以上やって嫌われたくはないからな。
とりあえず、スゥに詳しい事を聞いた。
これはウンディーネが生きていると勝手に出来上がる物らしい。意図的にも作ることは可能らしいが。形は大体水滴みたいな形になるようだ。そして出来上がってある程度の期間は、それを作ったウンディーネの体の一部に近い状態で、近くにあると勝手に魔力を吸収し蓄え、その魔力を使って光るとの事。それと時間が経った物は魔力を通しても光らないらしい。
繋がっている、と言うか、正確には感覚を共有するのはあくまでも近くにある時だけらしく、この洞窟を出ている間はさわっても分からないらしい。
そう言えば、これに似た形の宝石を見たことがあるのだが、名前がウンディーネの涙何だよな。……まさか、同じ物?
1つで馬車が買えるくらいには高価な宝石なのだけど、さすがに違う物だよな?
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