2、計画(2)

 私は立ち上がって、パソコンの方を向いて座っている彼の椅子をぐるりと回転させてやる。マウスを握りしめたままの彼の身体が、私のいる方を向いた。


「ちゃんと聞いてくれてる?」


「聞いてるよ」


「面白いこと……考えてみたの」


 念のためもう一度。すると彼は少し思案顔で


「チケットを取り返す……とかか?」


 そう言って、すぐにパソコンの方へと体を戻してしまった。


「……当たり。何で当てちゃうの? つまらない」


「話の流れからそれ以外にないと思った、それだけ」


 彼はあまり乗り気ではないのだろうか。正直ゲーム以外の何かに興味を持ってくれたことがあまり無いので、彼にこんな話をしたところで意味はないかもしれないと思っていたのだが。


 しかし、次の瞬間。部屋は完全な闇へと姿を変えた。パソコンの電源が切れて、ディスプレイの明かりが消えたからだった。


「おもしろそうじゃないか。で、どうすれば取り返せるんだ?」


 彼は代わりに机の上に置いてあるデスクスタンドの明かりを点けた。


「乗ってくれるの?」


「まぁ内容にもよるけどな」


 彼は椅子から立ち上がると床の上に正座をした。私もそれに習って、彼の前で正座をする。


「私の計画はね……」

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