第7話
「君がうれしそうなのはわかるよ、わけのわからないことをいう変な奴が相手というよりは喧嘩が始まった方がいい、なぜならそれはお決まりの展開、つまり君の考えの中に収まるテンプレートだからな」
「、、、は?」
赤髪がまた苛ついた声を出す。
「俺は正義のミカタじゃないし、君たちと喧嘩する不良じゃあない。もっと言えば君たちは不良じゃない」
「おい、そりゃどういう、、、」
不良のリーダーが言いかけた台詞の途中で彼は大きく振りかぶって石をコンビニのドアめがけて投げた。
そこにいる全員が唖然として無言でそれを見ていた。
石はスローモーションの様にゆっくりとコンビニのドアのガラスを破って中に飛び込んだ。
防犯ブザーがけたたましく鳴り響いた。
「バカかお前!」
「なぜ?コンビニに石を投げ入れてはいけないというマナーに反したからか?これは失礼した」
彼はペコリと頭を下げた。
「これで良いだろう」
「よかねーだろ逃げるぞ!警察がくる!」
リーダーの声で何人かの不良はバイクに跨って我先にと逃げ出した。
「おまえ本当のバカだな、こんなことで捕まるなんてよ」
リーダーは捨て台詞のつもりで吐いたがやはり彼は飄々としてまるで動じていない。
「捕まらるのはキミらだよ」
「は?」
逃げようとしていたリーダーは堪らず聞き返した。
「なぜだ?」
「君らがやったと言うからさ」
「お、おま、、、ふざけるなよ」
「ふざけちゃいないさ、コンビニに石が投げ込まれたら、そこに屯していた不良らしき青年とそうは見えない僕の発言のどちらを信じると思う?」
「はぁ?防犯カメラがあるだろが!」
「ちゃんと死角になるところに移動してから投げた」
「な……お前最低だな」
「ゆうじ!逃げなきゃ!」
後ろにひとりだけ逃げずに残っていたピンクの頭の不良がいた。
声を出すまでわからなかったが女の子のようだ。
「お前は先にいけ!」
「できないよ」
「いけ!」
ゆうじはそう言って鋭い目で彼女を睨む。
「取引しないか?」
唐突に彼がそういった。
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