第19話

「アクターは首の後ろ、いわゆる坊の窪と言われる場所に送受信装置がありここは絶対に守ること」


座学が始まる。

皆、ノートを取ったりと真剣な表情で聞いているが1人、足こそデスクにあげてはいないが頭の後ろに両手を組み、顔を天井に向けているものがいた。杏、である。


禁止事項……無抵抗の者、降伏の意を示す者には攻撃をしない、など。


罰則等……戦闘中にアクターを放棄しない。第3者にアクターを譲渡、貸与、売買しない。アクターを故意に破損しない、など。


「プレイ中、破損し動作不能となった場合はすぐに救援要請を送ること。負け確定、もしくは破損が激しくプレイ続行がのぞめない場合でも指定ポイントへ到達すればゲームはクリアしたと認めます。殺戮がメインではなくミッションボードのリストをなるべく多くクリアするがメインです」


アクターが表面上、何ひとつ破損が認められない場合でも連続でできるプレイは最高5回まで。3日間の点検期間を経て再びプレイ可能となる。破損した場合は破損状況によるが最大で1週間プレイ不能となる。


なのだろうが求めすぎではないかと思う。まるで実戦のようにアクターが破損すればメンテ終了までプレイができなかったり遠距離の高速移動ができないなどいくつかシバリがある。


皆、真剣に座学を受けている中でただ1人杏だけが聞く必要なしとばかり、椅子にふんぞり返り天井をずっと眺めていた。


「つまらないですか?杏さん」

「つまらないです。早く組手がやりたい」


一瞬だけ空気がザワッとする。

だが、すぐに数人が小さく拍手をした。


「そうですね。つまらない座学はこれで終了とします。15分の休憩後に実技とします」


座学をつまらないと豪語した杏。

一体、彼女の実力は如何なものか、全員の注目が自然と彼女に集まる中、彼女は優雅に部屋を出ていった。









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