第18話
「1時間ほど休憩とします。食事を取るなりして再び同じ場所へ集合して下さい。休憩後は模擬戦を考えています。今の訓練でやめたいと考えたならば何も告げず帰宅して結構です」
冷たく突き放すように告げる。
1時間後、何人が集まるか。
杏は残るのか……。
ゲームをするだけで時給が発生するなど、それも違法なほど高額な時給が発生するなどおかしいと思わないのか……。
いや、と自分に置きかえて考えて笑ってしまう。自分だってそうじゃないか。おかしいとは思いつつゲームだからと続けているのだから。現実と見紛うほどのリアルなゲームなど普通はできるはずがないのだから。
でもたかがゲームでここまで必要か?と常に頭の片隅で頭をもたげる違和感。何かがおかしいのだ。本能的に何か違和感を感じている。それが分からずもどかしい。
「私も食事に行きますがアダムスはどうしますか?」
珍しくリアムがいなかった。学校が忙しいとかなんとか言っていた。1人で昼食とも思ったがアダムスがいる手前、声をかけてみたところ、意外な答えが返り驚く。
「駅裏のビルに美味しいラーメン屋ができたそうだ。一緒に行かないか?」
よほど驚いた顔をしていたのだろう。
クスリと笑い、私の頭を軽くなで
「私だって食べたいときはあるさ。何かおかしいかね?」
優しい声で問う。私はご一緒します、と笑って告げた。
塩、醤油、味噌など色々な味が揃っている店だった。ご飯も美味しくて、私もアダムスも大満足で店を後にした。今度はリアムも連れて行こう。
「ご馳走様でした」
お礼をいう。アダムスがご馳走してくれたのだ。
「お礼にはおよばんさ。一緒に行ってくれてありがとうな。さて、もうすぐ休憩があけるが何人くるかな」
モニタを確認する限り今はのところ4人しかいなかった。杏もまだきていない。
更に10分。2人増え6人となったがまだ杏の姿が見えない。
……来ないか?
そう思いかけたとき、杏が現れた。
タバコをくわえ、ゆっくり部屋へ入ってきた。周りを見廻し、慌てた様子もなく胸ポケットからケースを出しタバコをしまう。
そのまま、座席へ腰をおろす。
「時間となりました。ここにいる者は継続の意思ありと判断します。軽く座学をしたのち模擬戦です。覚悟はよろしいでしょうか?」
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