第12話

花火が2、3発あがる。


真っ白い鳩が一斉に真っ青な空へと吸い込まれて行く。


賛美歌のような音楽が流れる。


「お待たせしました。ゲーム、シン。新規リリース記念イベント開催ですっ」


爆音のような歓声があがる。


「まずは。そうですね。他のゲームではみることのできない階級について説明をお願いします、シオザワさん」


いかにも研究者ってオーラ全開のおじさまがステージに登場し、マイクを受けとる。


『え~、シオザワです』

の一言に場内が爆笑。シオザワさんは表情を変えず一呼吸おいて続ける。


まずはゲームを初めてすぐはトライアルクラスと呼ばれそこからポイントを重ね、ゲームに慣れてくると昇級テストを受けてもらいます。

テストのスコアにより下からC→B→Aとなります。階級により………


長々と話は続くが後半は聞いている者はいなかったようだ。ヤジが飛ぶ。そんなの、やってるうちに理解するわぁ、とか、それよりお待ちかねのヤツをだせ!とか。


『ノルン様、準備は大丈夫ですか?』


突然、インカムに通信が入り驚く。

少し離れたビルの一室で広場の様子を眺めていた。窓越しに見ていたがそんなことしなくても映像と音声は通信で届けられている。ただどんな具合なのかを直接見たくなったから見ていただけだった。


『ノルン様?』


再度、インカムがなる。


『いつでも大丈夫』


少し緊張から声が震えていたかも。リアがいたら茶化されたかな?


『ムダ話。失礼。長い話より実際どんなアクターが使えるかみたいでしょう?ゲーム内のアクターを等身大実機で用意しています。あの、運命の女神ノルン様のアクターが登場ですっ』


拍手をお願いします!の声が聞こえた。

出番だ。


『ノルン様、お願いします』


インカムからGoサインが流れる。


さあ、運命の歯車が音を立てて動きだした。






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