第8話

ドアを少し開け、中をのぞく。

息を殺し、全ての音、全ての気配を読む。


念のため、手近の石を中に投げ込んでみる。


……反応なし。


ドアを閉め、中から出られないよう細工をしておく。万が一、敵がいたとしてこれをしておけばこちらの被害は少なくてすむ。


今回は市街地エリアを選択した。

今までの広いフィールドと違い、敵がどこに隠れているかわからない、独特の緊張感がある。敵と同様、こちらも身を隠す場所はいくらでもあるがその分、鉢合わせになる危険性は爆上がりだ。


「報酬は、なんだけど。緊張感半端ないわぁ」

癖になりそっとつぶやく。

リアムは小さく怖いわぁ、と返す。


試作でこれだけの仕上がりだ。まるでリアルな風景、建物。ラグなしで伝わる音声。風やニオイまで届きそう…。


「アクターの動きも問題なし。ホント、怖いね」

敵を撃ったときの触感も凄かった。


「解禁日、楽しみだね」


大幅リニューアルまで1ヶ月。



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