第6話

「今回は更新しない方向でいきたいと思います」


会社から1ヶ月後のクビを宣告され暗い気持ちで駅の改札を抜ける。

せめてもの救いはeSportsの大会で得た賞金の蓄えがかなりあることと、シンであり得ない額の報酬をもらっていることか。


あり得ない額。大幅改善のため、今は少しゲームで遊んでいるだけなんだが1度もらった額をみて、口がパクパクと鯉のようになってしまった。リアムは「お小遣いより少し多いかなぁ」と言って渡された紙をみて腰が抜けそうになった。


上位ランカーがこんなに報酬をもらえるんだ。待遇面など考えても下位ランカーが死にものぐるいで上を目指すのもわかるな。ゲームしてのってゲーマーにとって夢、なんだから。


でも自分はゲームだけで食べていくことにわずかな嫌悪感があり、薄給でありながらもあの仕事にくっついていたのだ。


就活をするべきか、否か。


「リアならどうするんだろ」

ため息をつき、ふと顔をあげるともう守衛所の前だった。

「お疲れ様です。ノルン様のお帰りを待っていました」


守衛所に見慣れない顔が1つ。名前知ってるってことは関係者?誰?


「マルコ、トゥンウィリです。ノルン様とリアム様のオペレーター機の担当です」


褐色の肌、黒い縮れた髪、緑の瞳の青年は破壊力抜群の笑みを浮かべ右手を差し出す。握手かな?


「日本の挨拶は握手違います?」

「違わないよ。よろしく。外ではハルって呼んでね」


第1印象が普通のイケメン(普通のってもおかしないい方だが)のマルコとの出合いはこうしてはたされた。まさか、のちにあんな結果で別れが訪れるなんて考えてもしなかった。後々までひきずることになる後悔をしてしまうなんて誰が予想できたであろうか……。




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