第3話

あの男にあって一週間が過ぎようとしていた。


「西園寺アダムス。株式会社シンが開発しているゲームのプレイヤのスカウトを担当しています」そう、本人は言っていたが。


セールスマンには絶対に見えない不思議なオーラをまとった男だ。

どちらかといえば、軍人。それも士官クラスの人間にどうしても見えてしまう。


になって欲しい、と。


「嫌、です。何度言われても無理」


プレイ中時給が発生するなんて胡散臭い。

他にも加減算ポイントはあるらしいが。

プレイヤクラスによっても基本給がつくと。

ますます、アヤシイ。


「ただ、ゲームを楽しんでいただけたらそれだけでいいんです」

リアムではなく、私だけ。私だけになって欲しいという。


「リアム様ももちろんプレイしていただきますが一般プレイヤとして、です」


リアムと顔を見合わせる。どうする?とお互いにアイコンタクト。


「無理強いはしませんが。どうです?1度実際にプレイしてみませんか。しないまま嫌だと、胡散臭いと言われるのも」

一理ある。

「明後日、そちらに伺います。もちろんリアムも一緒に」

こうして、知らない間に静かに運命の歯車が周りだしたのだ。


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