第5話
もうすぐ、自分の番だ。
うすうす気がついてはいた。
ともに働く仲間も、雨のたび、ひとり、また一人と “あちら側” へと呼ばれてしまった。“あちら側” の存在は知っているが、何が起きてどうなっているのかは皆目見当もつかない。けれど、自分先行きの不安よりも大きいものがあった。
この場合、半血の娘はどうなるのだろう。
何も知らない娘を置いていきたくはなかったが、こればかりはどうしようもない。天にゆだねるしかない。
迫りくる黒い雲を横目に、急ぎ足で家へと向かいながら、心の中で祈る。
どうか…どうか、悪いようにはしないでください。
それが彼女にできる最大限の祈りだった。
家にたどり着く前に、雷鳴が轟いた。
その瞬間、彼女は光となり、雲に吸い込まれていった。
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