第22話「俺の幼馴染は世界の果てのダンジョンマスター」
「もしもしニュックン? わたしダンジョンマスターになったのぉ!」
「え、本当かいスメラさん!? 今行くから! ダンジョン攻略するから!」
「え、もしもニュックン?! ニュックン訊いてる!? 訊いてないのおお!?」
俺の冒険が始まった!
おれは入道雄一! 通称ニュックン! ニュックンは伊達じゃないと言われた男ならば! どんなダンジョンでも攻略して見せる!
「さて、ダンジョンポータルでスメラさんのダンジョンを探そうっとー! おっとさすがはスメラさん、そんじょそこらの場所にダンジョンを作ってないみたいだなアー! 有視界距離じゃないってことはつまり濃い霧に包まれてる渓谷の奥深い場所にある洞窟とかかなあア!?」
まずはハーケンザックスを使って山間を超スピードで登りながら道中襲い掛かる魔物ヒュドンザビーストの変異体を的確に急所を打って砕いていく。
「素材はまあ、拾うとウェイトがかさむから、武器になりそうなものだけ拾っていこう、しかし妙だな? 渓谷の霧の中にもスメラさんマークがどこにもない?」
これって、これってまさかじゃないですけど!?
「地平線のかなたにいるんですかあああああああああああああ!!!!!!!! 「スメラさああああああああああああああああああああああああああんんんん!!!!」
小一時間後
「そう、そうなのニュックン! だからちゃんと飛空艇で来てねって言おうとおもったんだけど、どうして、どうして!?」
どうしてそこまでがんばれるんだ!? ニュックン!?
「はあはあ、ハーケンザックスの練度がMAXを越えて限界突破してしちゃったよ! ぼくでもこんなハーケンザックスに飛行アシスト機能がついていて、成層圏がドラゴンの巣だなんて思ってもみなかったさ、みなかったけど!」
今目の前にいるこいつは!? こいつの顔は!?
「ステラさんがダンジョンマスターだからってダンジョンがマスタリーなモンスターで攻略対象にすることないじゃないですかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「ごめんなさいニュックン、私人の名前を間違える人にはこのダンジョンがマスタリーモンスターとして討伐対象になるように設定してしまう系のダンジョンマスターなの! だから頼むからスメラさんって呼んでねって、毎日言ってたのに、なんで!?」 暴虐の爪が要塞からせり出して次々と襲い来るのをステルス戦闘機並みの立体起動で切り抜くハーケンザックス! 「だってスメラさんが! 星の様に! 美しいから!」 「ま、まあ!? それではまるでニュックンがステラバイザーみたい! でもひとの名前を間違えて生きて帰った人を私はまだ見たことがないの!? おねがい! もうあきらめてニュックン!」 ハーケンザックスがマスタリーダンジョンモンスターケーブドラグーンレッドバロンに突き刺さり、振りほどこうと地平線を越えてのたうち回るその巨躯にすがりつくニュックン!
「あきらめられないよ! だって! 最果ての星は!」 飛び勇んだ先のマスタリーダンジョンモンスターケーブドラグーンレッドバロンの眼光が窓辺にたつきらめく髪をたなびかせるスメラ巫女よ!
「スメラさんであって欲しいから!」「まあ!」
スメラを抱き寄せるニュックンはハーケンザックスてこの原理にしてマスタリーダンジョンモンスターケーブドラグーンレッドバロンの最後の抵抗の爆発力を利用して、天高く舞い踊った!
「これが!」「これが?」「きみに見せたかった景色だ!」
成層圏を越えた向こうにはオーロラがきらめく天界があった、天球を漂う星の輝線が、世界を包み込む星々のひとつひとつが! 「そうそこに輝く一等星が!」「わたしなのねニュックン!」
この世界にまたひとつ星がきらめいたその日だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます