「小説の書き方」コラム外伝

カイ.智水

外伝ゆえに

文章を見直してみましょう

第1話 日頃から表現力・描写力を磨こう

 本日から「小説の書き方」コラムの外伝を不定期で書いていきます。

 思いついた・ひらめいたものをとっかかりにして、それをコラムに仕立てたくなったら都度アップロードしていく予定です。


 初回は「表現力」「描写力」についてです。




────────


日頃から表現力・描写力を磨こう



 「雨が降る。」


 この一文を書くだけですべてを描いた気になってしまう書き手が多い。

 私もよくこのような書き方をしてしまいます。


 しかし「雨」とひと口に言っても、どんな種類の雨だったのか、どんな様子で降っていたのか。

 読み手にはいっさい伝わっていないのです。


 「狐の嫁入り」「台風のように暴風を伴って」「しとしとと」「土砂降り」


 ぱっと思いついた四つを挙げてみました。

 いずれも、単に「雨が降る。」だけでは書き分けられていない、つまり説明できていませんよね。

 単に「雨が降る。」という一文では「どんな」「どのように」などの情報が欠けているのです。



 もし今日雨が降っていたとしたら、その「今日の雨」をどのように表現したら、読み手に「こういう雨が降っているのか」と想像してもらえるのか。


 それこそが「表現する」「描写する」の本質なのです。



 では皆様に「表現力アップ」「描写力アップ」のトレーニング方法をお伝え致します。


 「今日の天気を書き表してください」


 それこそ「雨が降っていた。」「晴れていた。」「曇りがちだった。」ではダメです。

 「雨が降っていた。」のなら、どのような雨だったのか。


 「台風のような暴風を伴った雨が降っていた。あまりの風雨の激しさに、命の危険を覚えるほどだ。」


 たったこれだけでも、読み手にかなりの情報を伝えられていますよね。

 どのような雨だったのか。それを視点保有者はどう感じたのか。



 実は「表現力」「描写力」は、ただそのものを書くだけでは半分しか描けていないのです。

 そのものから「視点保有者が覚える感情」を描かないと、「表現」「描写」していないも同然。

 「説明と感情がセット」になって初めて、「表現した」「描写した」と呼べます。


 今回は「雨」を掘り下げてみましたが、たとえば「晴れていた。」らどうでしょうか。


 「真夏の高い太陽から容赦なく照りつける熱気で、頭が茹でられているようだ。」

 これも「説明と感情がセット」になっていますよね。



 なにも「天気」だけにかぎりません。

 「天気」は毎日接しますから、誰でも取り組みやすいだけです。


 自動車について「表現」「描写」する。

 昼ご飯について「表現」「描写」する。

 夕暮れについて「表現」「描写」する。


 すべて「説明と感情がセット」になるように書きましょう。


 たったそれだけで、あなたの「表現力」「描写力」は確実に鍛えられますよ。



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 今回はとても手っ取り早く「表現力」「描写力」を鍛える方法をお伝えいたしました。


 「説明と感情がセット」


 これができるだけで、文章の質が確実にワンランク上がります。

 「描けない」のではありません。

 「表現力がある」「描写力がある」と評価された経験がないだけです。


 経験がないものをこそ求められるのが「小説」の難しいところ。

 「絵」は描かれているものがすべてだから、ぱっと見でわかりやすい。

 「小説」は文字を読むだけで、情景が浮かばないと及第点にすら達しません。


 そんな文章を書いてこなかった人に、それが描けていないから「小説賞・新人賞」で落選するんですよ、とアドバイスしてもほとんど意味がないのです。


 「小説」で最低限求められる「表現力」「描写力」を鍛えるために、あらゆるものを「説明と感情がセット」になるよう意識しながら書いてみましょう。


 書き続けていれば、いつか確実にブレイクしますよ。




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