第90話 出撃準備
自分の頭に生えた山羊の角をQはなでた。
「砂漠の悪魔グレモリーね。私はその化身になったのね。なんかだんだん人間ばなれしていくわね。でも体に力がみなぎっているわ。これであんたをまもってあげるわね」
Qはそういい、そのスイカのような巨乳に僕の顔をおしつけた。
僕は至近距離でその光景を見た。
左の乳房、心臓の上あたりにあるQの文字が赤く輝く。
どくんと僕にも聞こえるほどの鼓動音がした。
Qの豊かすぎる体を激しくゆれる。
揺れる度にQの体が変化していく。
両腕がむくっとふくれ筋肉が隆起する。
両足も同様だ。
腹筋もわれ、まるで板チョコのようだ。
体がひとまわり大きくなったような気がする。
ただでさえ大きな乳房がさらに大きくなる。
これはものすごいボリュームだ。
「はあはあはあ……」
Qは喘ぎ、光る自分の胸をなでた。
「これはすごいわ。強くなったのが実感できる。これが悪魔の力なのね」
にこやかにQは言った。
僕の体液を接種したことにより魔族としてのランクがあがったようだ。
僕からみてもQの体に新しいちからがみなぎっているのがわかる。
Qは僕の体をさらに強く抱く。
顔が乳房にうもれ、息苦しい。
でも悪くない感覚だ。
彼女の暖かさと優しさを肌で感じることができる。
「この力であんたをまもってあげるわ」
そう言うと、再び口づけし、舌をからめだした。
ごくりごくりと僕の唾液を飲む。
僕たちは抱き合いながら、深い眠りについた。
目を覚ました僕たちはセイレーンたちが集まる部屋に行くことにした。
体が大きくなったQはきつそうに服を着ていた。
その部屋はこの雑居ビルにある会議室のようなところであった。
「やあ、君が月彦君だね」
とびっきりの金髪美女が僕に声をかける。
右手を差し出し、握手した。
「あなたが難波零子さんですね。Qたちを助けてもらってありがとうございます」
僕は言った。
「なに、いいってことさ。どうやら私たちは目的を同じくするようだからね」
零子さんは言った。
「メダルを、四つのアルカナを集めることですね」
僕は言う。
「ああ、そうだよ。私もそのメダルが必要なんだ。もとの世界にもどるためにね」
零子さんは言った。
「僕はラスプーチンにあなたを探すように頼まれているんですよ」
そうあの嘆きの壁から見逃してもらうのにアナスタシアという人物を探すように頼まれた。
Qの話ではそのアナスタシアが彼女だというのだ。
これはラッキーかもしれない。
「ラスプーチンね。あの筋肉神父には会いたくないんだけどね。まあいいわ。メダルを集めたあとでいいならそのラスプーチンに会いましょう。それならあなたたちと共闘できるわね」
形のいい胸の前で腕を組みながら、零子さんは言った。
彼女の戦力はかなり頼りになる。
これからむかう皎血城ではないが待ち受けるかわからない。
僕は彼女の申し出を受けることにした。
ラスプーチンとの約束には期限を決めていないからね。
「それでね、君たちが眠っている間にいろいろ造ったんだよ。私は魔女で錬金術師だからね」
そう言い、零子さんはQに紙袋を手渡した。
「ご無事でなによりです」
にこやかにセイレーンは言った。
Qがいなくなったのを見計らって僕の首に抱きついた。
セイレーンの白い髪の頭をなでるといい匂いがした。
僕はその香りを吸い込んだ。
「私たちは天野陽美さんのお宅に行こうと思います。Qさんに聞いたのですが、そこは安全地帯ということですから」
セイレーンは言った。
「ええ、じゃあ僕たちがかえるのを待っていてください」
どうやら僕にも帰るところが増えたようだ。
「本当は月彦さんのそばにいたいのですけどね。今の私では力不足のようですから」
そう言うとセイレーンは僕にかるく口づけした。
「また私のことをかわいがってくださいね」
小声でセイレーンは僕にささやいた。
セイレーンは僕が命をかけて救った女性だ。
彼女のことも手放したくない。
また会いたい。
必ず会いたい。
着替えが終わったQが部屋に入ってきた。
抱きついていたセイレーンはすっと離れて、美咲たちのところに行った。
Qは青いチャイナドレスを着ていた。
その特大巨乳の右側に竜の刺繍がほどこされていた。
スリットが深く、むっちりとした足がよく見えて魅力的だった。
どういう原理かわからないがその特大巨乳はうまく乳袋におさまっていた。
スイカのような巨乳の形がまるわかりだ。
おおこれはすごい、かなりエロいぞ。
「これは君の黒コートや私のスーツと同じ素材であるミスリル繊維でできているんだ。失われたドワーフの技術だよ。これでかなり防御力があがるはずよ」
自慢気に零子さんは言った。
「この服、気にいったわ。体にぴったりしてとても気持ちいいわ。それに思っているよりも動きやすいし。妖魔ハンターになった気分ね」
Qもその竜のチャイナドレスを気に入ったようだ。
鞘にはいった長剣を背中に背負う。
剣のベルトがその特大おっぱいに食い込んでセクシーだ。
この剣は零子さんがつくったゼノビアの剣というものであった。
「これも難波零子さんがつくった紅い腕輪です。私の血でできていて退魔の効果があります。どうぞご武運をおいのりしています」
そう言い、セイレーンは僕の左手にその紅い腕輪をはめた。
セイレーンたちは安藤さんが用意した警察の護送車で陽美の家にむかった。
あの家なら今よりは安全だろう。
「がんばりなよ」
別れ際、美咲が言った。
「またね、お姉ちゃん。また本読んでね」
百合ちゃんが言った。
「無事をいのっているよ」
安藤さんは敬礼した。
セイレーンたちとわかれた僕たちは南の湾岸地区にあるという皎血城を目指した。
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