第74話 堕天の守護者

 どたどたとやかましい音が室内に響いた。

 どうやら誰かの足音のようだ。

 けたたましくQが部屋に入ってくる。

「なんか発砲音がしたけど大丈夫?て大丈夫じゃないじゃない」

 僕の様子を見て、Qは言った。

「やだ、え、なんなのそれにこの人死んでるじゃない」

 パニック気味にQは言った。

「月彦さんは命をかけて私を救ってくれました。私はそのご恩に報いようと思います」

 Qはまだ目を白黒させていたが、無理矢理自分を落ちつかせたようだ。

 ふうっと息を吐いた。

「わかったわ。詳しいことはまたあとで聞くわ。それよりも大変なの。外にとんでもないのが来てるのよ」

 慌てた様子でQは言う。


 外に何者かが現れたのだろうか。

 どうにかしなければいけないのだが、僕の体はまるでいうことがきかない。


 視界のアイコンが勝手に動き出した。

 カチカチとアイコンが流れていく。

 満月がデザインされたアイコンが自動でクリックされる。

 それは望月のギフトであった。

 これはあの時ににている。

 嘆き壁の頂上でレヴィアタンが出現した時と同じだ。


 生命の危機反応により、望月のギフトが自動発動されます。

 特技スキル堕天を使用します。

 ユーザーの生命活動が復帰させるのに必要なのは二十四時間となります。

 頭の中に月読姫の声がこだまする。


 ベッドの脇の床が黒く光る。

 それはレヴィアタンとはまた違った魔法陣であった。

 黒い光の中から奇怪な人物が現れた。

 その人物は中世の医師がつけていたペストマスクを着用していた。肩に漆黒のマントを羽織っている。

「我は月桂樹に宿りし者。色欲を司る水星のベルフェゴール。これより七つの大罪人を守護する」

 性別不明の高い声でその人物は言った。


 その声を聞いた後、僕は完全に意識を失った。

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