第69話 セイレーンとの交わり

 唾液を注ぎ込むごとにセイレーンの顔は赤みを取り戻し、目元の腫れが引いていく。

 はっとなるほどの端正な顔立ちだった。

 その卵のような輪郭をした顔の肌はすべすべとして気持ちいい。

 僕はおもわず手のひらでなでた。


 一度、僕は唇を離した。

 唾液が糸となって僕たちの顔の間に橋となる。

 セイレーンはその唾液の糸を手ですくい、舐めとった。


 この人はこんなにも美人なのに、そうあることを捨てて、他者のゾンビになる毒をひきうけたのだ。

 僕にはとうてい真似できないな。


 ふうっと僕は一息ついた。

 僕が舐め、触れる場所はもとのすべすべとした滑らかな肌を取り戻していく。

 これが月桂樹の力か。

 改めて、僕はその秘めた力を知った。

 ただ、僕が治癒するたびに鈍い痛みが襲い、それも月桂樹の力で回復していかなければならない。

 徐々に体力が奪われていく。

 Qの時とは段違いだ。

 それほど、彼女が引き受けたゾンビ化の毒が強力だということなのだろう。

 だが、途中でやめるわけにはいかない。


 セイレーンの服に手をかける。

 彼女は白いシャツと黒いスカートというシンプルな装いだった。

 どことなく学校の先生を連想させた。

「服を全部脱がせますよ。全身を浄化します」

 僕は言った。

 セイレーンは頷き、肯定した。

 シャツのボタンを外し、脱がせる。スカートもずり下ろす。


 セイレーンの裸体を見て、僕は思わず声をあげそうになった。

 その体も紫色の腫れ上がり、ところどころ肉が裂け、膿と血で汚れていた。

 脱がせた衣服にも血と膿がべったりとこびりついていた。


 かわいそうに、体までこんなになっているなんて。


 僕はセイレーンの乳房の傷に口をつけた。

 口に唾液をため、その傷口をなめる。

「うっん……」

 セイレーンは吐息をもらした。

 はあはあと熱い息をもらす。

 僕は丁寧にセイレーンの体を舐めていく。

 僕が上半身の傷口に舌をはわせるたびに傷口がふさがり、腫れもひき、白い肌になっていく。

 僕は顔をあげ、セイレーンの顔を覗き込んだ。

 彼女はふふっと微笑んだ。

 かなり、顔色がよくなっている。

 僕は若干の疲れを覚えつつ、セイレーンに口づけした。

 セイレーンはまた舌をねじ込み、僕の唾液を美味しそうに飲んだ。

 セイレーンはその柔らかな手で僕の下半身のものをつかんだ。

 その純和風の綺麗な顔にいたずらっ子のような笑みを浮かべた。

 ゆっくりとしごきながら、僕の口から唇を離し、僕の乳首を吸いだした。

 セイレーンの舌が僕の乳首を舐めるたびに言い様のない快感が全身を駆け巡った。

 あまりの気持ちよさに僕は思わず声をもらしてしった。

 次に完全にガチガチになった僕のものをセイレーンは口にふくんだ。

 その舌が蛇のようにからみ、吸い、あまつさえ手でしごいていた。

 僕はその衝撃にも似た快感に耐えきれずにすぐに口の中に射精してしまった。

 セイレーンは手でしごきながら、僕が吐き出すものをすべて飲み込んだ。

 ごくごくと白い喉をならし、僕の精液を嚥下した。

 ふうっと一息つくと僕の首に手をまわし、抱きついた。

 僕の体液には万能の霊薬エリクサーが入っていると月読姫は言った。

 その効果だろうか、セイレーンの体は見た感じ、綺麗な肌艶になっていた。

 僕はそのすべすべとした肌ざわりを手でなで、楽しんでいた。

 間近で見るセイレーンの顔は本当に綺麗だった。

  

 さあ、月彦、仕上げましょう。彼女の体内にはまだアンデッドの毒が残っているわ。


「これから体内を浄化します。いいですかセイレーン?」

 僕は訊いた。

「うん、いいわよ。お腹の中からも綺麗にしてちょうだい」

 セイレーンは言い、僕に口づけした。

 セイレーンの柔らかな唇の感触を楽しみつつ、僕は彼女の股間に手を伸ばした。

 ゆっくりと指をいれるとあううっという吐息が鼓膜を刺激した。

 指でなでていくと、セイレーンの股間はあっという間に濡れていった。

 一度果てたにも関わらず、僕のものはまた固くなっていた。

 そこにセイレーンは股間をこすりつけてくる。

 僕のものは彼女の出す液体で完全にびちゃっびちゃになっていた。

 こんなことは初めてだったが、手探りの状態で僕は彼女の肉の壁に押し入った。

「はあうううっ」

 大きく背中をのけぞらせて、セイレーンはうめいた。

「だ、大丈夫ですか?」

 僕はとまどいながら訊いた。

「ええ、大丈夫よ。最初に中に入ったときは痛かったけど、今はとても気持ちいいわ。あたなと繋がれてすごく幸せよ」

 セイレーンは熱い息を交えて、言った。


 僕はその言葉をきき、ゆっくりと腰をうごかした。

 彼女の中はあたたかく、信じられないほどの気持ちよさだった。

 セイレーンの肉壁は僕のものをしめつけ、こすりつけた。

 僕は無我夢中で腰をふりつづけた。

「あんっあんっあんっ」

 僕の動きのあわせて、セイレーンはあえぎ声をあげる。

「月彦さん、とっても気持ちいいわ。私もう何回もいっちゃってるの。ねえ、あなたも私で気持ちよくなってちょうだいよ」

 セイレーンはそう言い、さらに僕の股間のものをしめつけた。

 もっと彼女とつながっていたかったがもう限界だった。

「い、いきますよ」

 僕はそう言った。

「ええ、全部中にだしてちょうだい。あなたのもので私をきれいにして」

 セイレーンはそう答えた。

 許しを得た僕はセイレーンの暖かな体の中に全力で射精した。

 射精にともなう快感が僕の体を支配する。

 ぼくはぜえぜえと肩で息をした。


 まだつながったまま、セイレーンは僕に抱きついた。

 彼女の柔らかな乳房の感触が胸に伝わる。


 月彦、成功よ。

 セイレーンは完全に浄化されたわ。

 月読姫の声が頭の中で語りかける。


 僕とセイレーンは抱き合ったまま心地よい眠りについた。


 

 


 

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