第54話 サキュバスとの夜Ⅲ

 実家に戻った僕たちは母さんの作った夕ご飯を食べた。

 母さんの手料理はさすがだと思った。

 限られた材料でこんなに美味しいものをつくるなんて。

 家庭菜園で育てた野菜はみずみずしく、久しぶりに食べたサラダはとても美味しかった。

 もともと野菜は苦手だったが、いざ食べられなくなるとこんなにも貴重で美味しいものだと痛感させられた。

 味噌汁は優しい味わいで、塩のきいた梅干しのおにぎりは疲れた体にしみわたった。


 今晩は戦いの疲れがあるため、休むことになった。


 僕は自分のベッドに横たわり、今日のことをあらためて思い出した。


 あの月読姫の姿はなんだったのだろうか。

 八枚の羽を生やした美しい天使の姿。

 たしか明けの明星と名乗った。

 ルシファーとも言っていた。

 さすがにその名前は知っている。

 神様に逆らい天界から追放された天使長

がルシファーだったはずだ。

 天界でもっとも美しい天使だったという。

 たしかにあの天使の姿をした陽美は神々しい美しさであった。

 それに形のいい乳房やお尻の張りは脳裏から離れない。

 まだ舌のあの甘い唾液の味が残っている。

 気がつくと僕は下半身の固くなりつつあるものを握っていた。

 ああ、またやってしまっている。

 幼馴染みをおかずにこんなことを。

 思えば何度、陽美の裸を想像して自慰をしただろうか。

 Tシャツの襟元かた見える胸の谷間。赤いふっくらとした唇。白いむっちりとした太もも。

 それらを頭の中に浮かべて何度も自分でことにおよんだ。

 自慰行為を覚えたときからほぼずっと陽美のことを考えながらオナニーしていた。

 こんなデストピアな世界になったのにその癖はぬけないでいる。

 人間なんてどんな状況になっても根本は変わらないのかもしれない。

 僕がそんなくだらないことを考えていたら突如声がした。


「ちょとあんた、こんなところで無駄玉撃たないでよ」

 そう言い、Qは僕のこすり続けている手を握って止めた。

「ちょ、また勝手に入ってくるなよ」

 慌てて、僕は言った。

 いや、これは恥ずかしすぎる。

 自慰行為を見られてとんでもない恥ずかしさだ。

 耳の先端まで赤くなるのを覚えた。

「何恥ずかしがってるのよ。あんたも小学校で私に恥ずかしいことしたじゃない。こんなエッチな体にしてさ。それにエネルギーを補給するのにあんたの精液が必要なんだから。一人でださないでよ」

 Qはそう言うと僕の口に自分の唇を重ねた。

 舌がねじ込まれ、僕の歯を一つ一つていねいに舐めていった。

 Qは流れ出す僕の唾液を美味しそうに飲んだ。

 Qの柔らかな舌が僕の口の中をはうたびに、下半身のものはより固くなった。

 Qは僕の手を払いのけ、下半身のものを強く握った。

 ぐっと握られると腰の部分からとんでもない快感がわいてきた。


 Qはその柔らかな手でゆっくりとしごいていく。

 すぐに透明な液体が僕のものの先端から流れ出し、Qの手をベタベタにした。

 一度手を離し、Qはその透明な粘液をなめとった。

「あんたの美味しいわ。すごく美味しい。普通の食べ物でもお腹は満たされるんだけど、これがないとやっぱりダメみたいね。なんか元気がでないのよね」

 どこか自虐的にQは言った。

 

 再びQは僕のものを握り、今度は激しくしごきだした。

 そのリズミカルな刺激に僕はもう耐えれそうになかった。

 あと何度か上下運動されると絶頂をむかえそうだ。

「もう行きそうなの」

 Qは僕の顔を見て、言った。

「ああ、もうダメだ。出ちゃうよ」

 僕はすでに絶頂寸前だった。

 すぐにでも射精してすっきりしたい。

 そんな醜い欲求だけが頭を支配した。

「ちょっと待ってよね。まだ出さないでね」

 Qは言った。

 それは難しい相談だった。

 早く出してしまいたいのに。

 でも、僕はQの言うとおり、我慢した。

 しかし、もう我慢の限界が近い。

 Qは僕の苦しそうな顔を見て、サディストな笑みを浮かべながら、僕のものを口に咥えた。

 舌をからめてじゅばじゅばといやらしい音をたて吸いだした。

 もうダメだ。

 この刺激は強すぎる。

「く、口にだすよ」

 懇願めいた声で僕は言った。

「いいよ、口にいっぱいだしてちょうだい」

 器用にQは僕のものを咥えながら、言った。

 その言葉を聞き、僕はついにQの口の中に全力で射精した。両手でQの茶髪の頭をつかみ、どくどくと口の中に流し込んだ。

 どばどばと精液が吐き出されるたびに僕の体を快感がかけぬけ、ともすれば気絶しそうになった。


 最後の一滴までQは飲み干した。

 唇につく白い液体も指でとり、口にいれた。

「どう、気持ちよかった?」

 Qは訊いた。

 心地よい疲労のため、僕は頷くことしかできなかった。

「もう一人でしないでね。あんたのは私にとって貴重なエネルギーなんだから。それにあんた以外のは飲みたくないしね。これからあんたの射精管理は私にまかせて頂戴ね」

 Qはそう言うと、小さくゲップし、僕の隣ですやすやと眠ってしまった。

 僕は眠りにつくQの豊かな体を後ろから抱きつき、眠りについた。

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