第45話 光の天使
僕は斬鉄剣を握りなおし、彼らに戦いを挑む。
ゾンビたちの動きが手にとるようにわかる。
これが鳴滝流の
彼らの動きは驚くほど緩慢に思えた。
だがそれは彼らが遅くなっているのではなく、僕の集中力が研ぎ澄まされているからだ。
僕は予想されるゾンビの動きにあわせ、その場所にやってきた敵の急所に斬鉄剣を突きつける。
よし、簡単に倒すことができたぞ。
とどめをさす時だけ、力をこめるので体への負担が少ない。
動作が最適化されているようだ。
ポケットからビー玉を五つほどとりだし、それを空中に放り投げる。
弓張り月のアイコンをクリックする。
宙に浮かんだビー玉に意識を集中させる。
ビー玉はそれぞれ加速し、ゾンビと緑鬼にむけて発射された。
ビー玉はそれぞれの敵の頭蓋を破壊し、また僕のもとにもどる。
弓張り月と三日月を併用発動させ、僕はむらがるゾンビたちを次々と撃破していった。
その間にも母さんはまるで舞踏のように鮮やかにゾンビや
Qは金属バッドでゾンビの頭を粉々にした。
二十分ほどの戦闘で僕たちはフリッツ・ハーバーの呼び出した
そこに残ったのはあわれなゾンビたちの死体の山だった。
僕はゾンビたちの頭からいくつかのクリスタルを回収した。
左手の月読姫がバリバリとそれらを食べ、小さくゲップした。
父さんがそのクリスタルのひとつを指でつまんだ。
「こいつが賢者の石か。別名柔らかい石か」
そう言い、父さんは指に力をいれた。
そのクリスタルはぐにゃりとグミのように曲がった。
「月彦、これはな。たぶんなんだけど、精神力を物質化し、結晶化させたものだろう。天野が言っていたよ。人間の精神力をエネルギーに変える方法を見つけたってな。こいつはすさまじい効能と効果があるようだけど、作り方は非人道的だな。対象者をゾンビにするんだからな」
と、父さんが言った。
まただ、陽美の父さんは色々なところで関わっている。
世界的な天才だったようだけど、こんな世の中にした張本人なら、許せないな。
もし会うことができたら、色々と問いたださなくてはいけない。
戦いを終えた僕たちは石畳を登り、境内にたどりついた。
僕はそこで光輝く存在を見た。
目を開けているのがやっとの明るさだった。
その光の中にいる白い服を着た人物は純白の翼を背中に生やしていた。
その神々しい姿は天使そのものだった。
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