第25話 夢野久美の選択
柔らかな唇の感触は気持ちよかったが、今はその感覚を楽しんでいる暇はない。
僕は唾液を彼女の口腔内に流し込んだ。力ずくで唾液を飲ませる。
とんでもない背徳感があったが、気にせずに僕はさらに唾液を飲み込ませる。
暴れていた夢野久美がだんだんと大人しくなる。
どうやら月桂樹の回復能力がうまく働きだしたようだ。
「わ、私……」
自意識を取り戻した夢野久美が言った。
「ちょ、ちょっとあんた何してるのよ」
馬乗りになっている僕にむかって夢野久美は言った。
かなり腹をたてているようだ。
だってしかたないだろう。
こうしないとゾンビになってしまうというのに。
「牛乳娘、あんた何いってるの。そんなこと言える立場ではないでしょう。あんたは月彦に感謝しなくちゃいけないのよ。このまま、アンデッドにしてもよかったんだからね」
左手の月読姫が代わりに言った。
月読姫は僕の言いたかったことを代弁してくれた。
「そ、それは……」
夢野久美は視線をそらせた。
急にしおらしくなった。
「ねえ、君はゾンビにかまれていたね。そしてそれを隠していた」
僕は言った。
「う、ご、ごめん……」
夢野久美はすまなそうにしている。
「田沼さんにひどいことされると思って、いいだせなかったの」
夢野久美は言った。
もしそれを言っていたら、あの実花という少女と同じ目にあっていただろう。
その気持ちは分からないでもない。
「牛乳娘、アンデッドにならなくてすむ方法が一つだけあるの。よく聞いてね。それはね、アンデッド化する前にあんたの遺伝子情報をかきかえるの。けどねそうするには牛乳娘は月彦と奴隷契約を結ばなくたはいけないのよ。そうすればアンデッドにならずになおかつ自我を保つことができるの」
月読姫は説明した。
「さあ、選びなさい。人として死ぬのか。それ以外の存在となって生きるのかを」
月読姫は夢野久美に選択肢を提示した。
夢野久美はだまって考え込んだ。
それもそうだろう。
こんな二択はひどすぎるだろう。
だが、彼女は決めなくてはいけない。
それは自分のことだから。
そして考える時間はあまりにも少ない。
平静を取り戻していた夢野久美に再び青い血管が浮かび出した。
目が真っ赤に充血している。
「またアンデッド化が始まったわ。さあ、牛乳娘、選ぶのよ。自身の生か死を」
月読姫は冷酷にも選択をつきつける。
夢野久美はその巨乳を僕に押し付け、抱きついた。
「私、生きたいよ。まだ死にたくないよ」
泣きながら、夢野久美は言った。
決まったわね、それでは今から牛乳娘の遺伝子の書き換えを行いましょう。
まずは、その牛乳娘の傷口に月彦の唾液を流し込むのよ。
うん、わかったよ。
僕は夢野久美のスカートを思いきってぬがせた。
そこには、白い太ももと紫色のただれた傷口があった。
僕はためらいながらもその傷口に口づけをした。
「あつっっ!!」
高い声で夢野久美はあえぎ声をもらした。
僕は舌をだし、べろりと舐めた。
「あんっあんっ」
舌が皮膚を這うたびに夢野久美は甘い吐息をもらした。
もしかして感じているのだろうか。
夢野久美は身もだえしていた。
口一杯に唾液をため、僕は念入りにその傷口を舐めた。
傷口は舐めるたびにふさがっていき、桃色の肌を取り戻していく。
「あふっあんっあんんっ」
僕が唾液を含ませた舌で舐めるつど、夢野久美は気持ち良さそうなあえぎ声をもらした。
夢野久美は両手で僕の顔を押さえつけた。
「気持ちいい、気持ちいい、もっともっと舐めて」
悲鳴にも近い声で夢野久美は言った。
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