第24話 生か死の選択
顔中に青い血管を走らせ、歯をむきだしにして夢野久美は僕に噛みつこうとしていた。
三日月によって強化された僕の腕力で完全に押さえ込むことができていたが、さて、どうする。ずっとこのままという訳にはいかない。
そうね、このまま放っておけばこの牛乳娘は完全にアンデッドになってしまうわ。
彼女の足の付け根を見てご覧なさい。
月読姫は言った。
僕は月読姫の言う通り、自分の膝でどうにかして夢野久美のスカートをめくった。
そこには、紫色にただれた傷口があった。
それは何者かに噛みつかれた痕だった。
夢野久美はすでにゾンビに噛みつかれていたのだ。
なるほど、それで最初に出会った時に足をひきずっていたのか。
おそらくあのコンビニにたどり着く前にゾンビに襲われたのだろう。
月彦、よく聞いてね。
あなたには二つの選択肢があるわ。
まず一つはこの牛乳娘をアンデッドとして殺してしまう。
もう一つは牛乳娘の遺伝子を書き換えて別の種族に変えるの。
アンデッド化が終わっていない今ならそれが可能よ。
月桂樹の能力ならそれができるの。
別の種族に変えたら、少なくとも彼女の自意識を保つことができるわ。
ただし、もし種族を変更したらここから先は月彦の支配下におかなけらばいけないの。
誰の支配も受けなければ、さっきの
月読姫はそう説明した。
夢野久美をこのままゾンビにするのはあまりにかわいそうだ。
出会ってまだわずかな時間しかすぎていないが、僕は彼女に愛着のようなものを持つようになっていた。
せっかくの生き残りをここでゾンビにさせて死なせてしまうのは忍びない。
なので、夢野久美をゾンビにさせるわけにはいかない。
まずはどうすれば良い。
僕は月読姫に訊いた。
やることはそれほど難しいことではいわ。
月彦の体液を使って牛乳娘の遺伝子を書き換えるの。
月桂樹の能力で月彦の体内に蓄積したクリスタルを万物の霊薬エリクサーに変換して体液と一緒に流し込むの。
体液って、もしかして……。
そうね、体液っていっても色々つかえるわ。
唾液に汗に涙に血液、そして精液。
精液ってやっぱり。
それもはいるのか。
体液といえばその代表みたいなものだからな。
心配しないで、今回は唾液で充分よ。
それに今の牛乳娘に精液を流し込むのは至難の技よね。
僕は少しほっとした。
こんなところでゾンビになりかけの女の子とセックスするのは嫌すぎる。
僕は三日月の能力でさらに腕を強化し、なおも暴れる夢野久美の体を押さえつけた。
右手で体を押さえつけ、左手で頭を床に固定する。
視界の月桂樹のアイコンをクリックする。
噛みつかれないように気をつけながら、僕は夢野久美の唇に自分の唇を重ねた。
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