第12話 ゾンビたちとの戦い

 外に出た僕はゆっくりとこちらに近づいてくるゾンビの三体を確認した。

 月読姫の話では太陽の光がふりそそぐ昼間はゾンビたちアンデッドは動作がにぶるということであった。


 彼らをゾンビたらしめている原因は日の光に弱いとのことであった。


 いっそのこと太陽の光を浴びたら消滅でもしてくれたらよかったのにと僕は思った。

 そうはうまくいかないのが人生なのかもしれない。

 などと哲学的なことを考えている間にもゾンビたちはこちらに近づく。


 相対的な距離は約三十メートル。


 三体のゾンビはウーウーと不気味な声をあげていた。


 ぐっと木刀を握る手に力がこもる。

 両足を三日月で強化する。

 

 僕は思いっきりアスファルトの地面を蹴った。


 約一秒でゾンビに肉薄する。


 さらに木刀を三日月で強化する。

 この時、連想するのは切れ味抜群の日本刀だ。

 全てものを切り裂くという斬鉄剣だ。

 ぎらりと木刀は銀色に輝く。


 斬鉄剣と化した木刀をゾンビの一体に左下から右上へと斬りつける。

 それはバターを斬るよりも簡単にゾンビの体を真っ二つにした。

 上半身と下半身を二つに裂かれたゾンビはなおも動き、僕を狙っている。


 やはりゾンビの頭部を破壊しなければいけないのか。

 ゾンビの定番といえばそうだが、やはり彼らもそうなのだろうか。


 そうよ、アンデッドの弱点は頭よ。

 頭を砕けば、アンデッドは活動を停止するわ。

 厳密にいうと頭にある物質を脳から切り離すということね。

 月読姫は言った。


 やっぱりね、ならば重点的に狙うのはやはりゾンビの頭だということだ。


 まず二分した上半身だけのゾンビの頭に木刀を突き刺した。

 ぐにゃりっという鈍い音がして、ゾンビの頭は破壊された。

 頭を潰すとゾンビはすぐに動かなくなった。


 残りは二体だ。


 ゆっくりとした動きしかとれないゾンビなど恐れることは何もない。

 確かにその姿は不気味で気味が悪いが戦って勝てない相手ではない。

 なら、戦って勝つまでだ。

 攻撃は最大の防御だ。

 驚異には強い攻撃をもって防ぐという考えだ。

 僕はその考えにシフトした。

 その自信は七つのギフトがもたらす圧倒的な力によるものだ。


 再び両足を三日月で強化し、素早さを高める。

 残りのゾンビのうちの一体に接近し、首筋めがけて斬撃を繰り出す。

 そのゾンビの首は簡単に吹き飛び、落下してきた首を木刀で粉砕した。


 残りは一体。


 僕は両腕を強化し、最後の一体のゾンビの頭部めがけて突き技を繰り出した。

 いとも簡単に頭部を破壊されたゾンビはすぐに動かなくなった。

 

 ゾンビたちを撃破した僕は疲労のため、地面にしゃがみこんだ。



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