第7話 コンビニで出会った生き残り

 僕はまず近くのコンビニに行くことにした。

 コンビニなら、これからの旅に必要な道具や食料が手に入るだろう。


 木刀片手に周囲を警戒しながら、歩くのはなかなか骨が折れた。

 僕が苦心していると視界の左下にあるアイコンが点滅した。

 十二単を着たお姫様がデフォルメされたデザインのものだ。

 僕はそのお姫様のアイコンに意識を集中させる。

 カチッという音がしてクリックされた。

 二度目であるが、かなり慣れてきた。

 なんだが、以前家電量販店で体験したVRゲームのようだ。

 あれよりは体に馴染んでいて、操作性はかなりいい。


 おほよう、月彦。

 それは陽美ににた月読姫の声だ。


 やあ、おはよう。

 僕はすでに彼女と念話することに違和感を覚えなくなっていた。

 

 月彦、かなり警戒しているわね。


 そりゃあ、そうだよ。昨日のゾンビみたいのがどこにいるかわからないのだろう。

 そりゃあ、警戒もするよ。


 それなら、まかせておいて。

 私の月読の能力を使えば、索敵も可能よ。


 そんなのもできるのかい。


 ええ、お安いごようよ。

 まずは円を意識してみて。


 僕は月読姫の言う通り、円を思い浮かべた。


 いいわね、じゃあそれを自分を中心にとりあえず三十メートルの円を意識してみて。


 僕はいわれるままに巨大な円をイメージした。

 

 視界の右上に小さな地図と円が浮かびだした。

 地図はこの街のものだった。

 これはいい、ゲームのマップ機能のようだ。

 ほんと、ゲームみたいだ。

 僕は心の中でそう呟いた。


 どう、使いやすいでしょう。この私をはじめ、七つのギフトは月彦が使いやすいように天野陽美博士がデザインしたものよ。

 月読姫はどこか自慢気に言った。



 僕はその視界に浮かぶ地図を便りにコンビニまでたどり着くことに成功した。

 運良くゾンビたちにでくわさずにすんだのはラッキーといえるだろう。


 マップ上のコンビニの中に小さな点滅が浮かびあがった。

 それは白い点滅だった。

 

 これは生命反応ね。

 おそらく、この店内にだれか人間がいるようね。


 ということは生存者に出会えるということか。

 詳しい状況を知りたいし、僕はこの点滅する生存者に接触することにした。

 じっとしていても何もことは進展しないしね。



 コンビニの自動ドアは少しだけ開いていた。

 僕はその隙間から体を捻りながら、中に入った。

 リュックもどうにか中にいれることができた。

 木刀を握る手にも力がはいろうというものだ。



 薄暗い店内の食料品の棚でごそごそと音をたてながら、何かを物色している人物がいた。

「あ、あの……」

 僕は恐る恐る声をかける。

 その人物はびくっと驚き、後ろに腰を抜かした。

「きゃああ!!」

 甲高い悲鳴は店内に響く。

 その高い悲鳴を聞いて、僕は正直焦った。

 この悲鳴を聞き付け、あのゾンビたちがやってきたらどうするんだよ。

「あ、あんた人間なの」

 悲鳴の主であるその女性は僕の姿を見て、そう訊いた。

 どこかの高校の学生だろうか。チェックのスカートに白いブラウスを着ていた。

 そのブラウスのボタンは三つ目まで開けられていて、ボリュームたっぷりの胸の谷間がのぞいていた。 

 うわっでかいな。

 僕は心の中でそう呟いた。

 そうね、まるで乳牛ね。

 月読姫はそう答えた。

「まぎれもなく、人間だよ」

 僕はその女性に言った。

「よ、よかったわ……」

 その茶髪で巨乳の女性はそう言った。




 

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