第2話ユーザー登録

 ザザザッ……。

 ザザザッ……。

 ザザザッ……。


 なんだ、ノイズのような音が頭の中を駆け巡る。

 その音はチューニングできないラジオの雑音に似ている。

 これは夢なのか。

 現実なのだろうか。

 それはまったく僕には理解できなかった。

 ただ、頭の中に鳴り響く音を聞くことしかできない。

 寝ているのか、起きているのか、まるで分からない。



 ユーザー登録を開始します。


 それは女性の声だった。

 どことなく陽美ゆみの声ににているような気がする。


 ユーザー登録夜空月彦よぞらつきひこ


 ああ、それは僕の名前だ。

 どうして頭の中のそのひとは僕の名前を呼ぶのだろうか。


 基本データを登録します。

 夜空月彦、性別は男性。

 種族はホモサピエンス。

 年齢は十七歳。

 身長は百七十五センチメートル。

 体重は六十二キログラム。


 間違いありませんか?


 陽美に似た声は問いかける。


 うん、そうだよ、間違いない。

 僕は答えた。


 登録完了しました。

 これより知恵の実七つのギフトをダウンロードします。


 ザザザッ……。

 ザザザッ……。

 ザザザッ……。


 またあのノイズが頭の中を木霊する。

 ぼくはそのノイズが止んだ後、再び意識を失った。



 ザザザッ……。

 ザザザッ……。

 ザザザッ……。


 どれほど眠ったのだろうか。

 再びそのノイズが頭の中に響き渡る。


 知恵の実七つのギフトのダウンロードに成功しました。


 七つのギフトのうち、月読つくよみ新月しんげつが使用可能となりました。

 職業クラスは覚醒者と認定されました。


 最後に夜空月彦さん、天野陽美博士をこの絶望の世界から助けだしてください。

 私たちはそのために造られたのですから……。



 その声を聞いた後、僕は目を覚ました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る