第4話 第二回接種

ファイザー・ビオンテックの新型コロナワクチンは、第一回接種と第二回の間は2~3週間空ける。

免疫を最短最適な形でつけるためである。(と理解している)

なので、当初第二回の予定は連休直前、4月末の金曜日と予定されていた。

職員・スタッフを仕事に支障なく、接種会場およびアナフィラキシー反応待機所で密にならず、スピーディーに流れるように院内の担当委員が調整したものだが、


水曜日、勤務中に急に連絡が入った。


当日予定の他科スタッフに急なキャンセルが出たので、今日準備が出来ていたら接種できないかと。


すぐによろしくお願いしますと答えて、指示された時間までに仕事の段取りに入る。

病棟スタッフに急に順番が回ってきたことを伝え、15分くらい中抜けすると連絡し、時間的に余裕のない仕事を優先的に終わらせ、書類を持って移動する。

『こんなこともあろうかと』第二回目用の問診票と、『新型コロナワクチン接種記録書』に必要事項をあらかじめ記入して、勤務の日には持参していた。

宇宙戦艦ヤマトの真田志郎工作班長の心意気である。

いつ急に、代打で回ってくるかもしれぬ。

Twitterや他のスタッフとの会話で、ままある事として認識していたのが幸いした。


基本は前回と一緒。

エスカレーターで接種会場に行き、問診票他の書類を提出。

捺印、意思確認、医師の問診を受け、解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンを受け取る。

こちらも第一回と同じく、希望によりの配布ではあるが、錠剤の量は増えていた。

第二回目の方が発熱や頭痛、上腕部の痛みなど副反応が強く出る、と言う話からだろう。

実際、すでに二回目を受けた技師や薬剤師、ナースさん達から『38度以上熱が出た人がいた』『鞄が持てないくらい腕が腫れて痛んだ人もいた』という話は聞いている。

母数が多ければ副反応が生じる人も多いのは当たり前だし、なにより定時まで勤務するのは院内であるから、何かあったらすぐ対応してもらえる。

その点は安心感がある。


「アルコールのアレルギーは在りますか」

「ありません」


じゃいきますよー、と肩先むき出しにした私のブッたるんだ上腕筋にプスッ


毎度インフルエンザより細くて少ない注射器に液量である。


「指先しびれたりありませんか」

「ありません」


あっという間に防護パッチを貼って終了。


あとは、ずらりと並んだソーシャルディスタンスベンチで15分ほど休憩…のはずが、混んできたので10分待たずに、タイムキーパーのナースさんから


「もういいですよー」


と退場可の勧告。


痛みもないし、火照りも悪寒も『熱出て来たぞ』感もない。

渡されたアルコールウエスでベンチの座面と手すりを拭いて、待機所を後にする。

気が付くと第一回目よりだいぶ接種人数が多い。

東京の感染者数も右肩上がりだし、早く受けられたのは僥倖としか言いようがない。


仕事に戻り、力仕事などそれなりにこなし、定時に上がった。

だるさもその他の異常もない。

上腕が痛い気もするが、力仕事のための筋肉痛と見分けがつかない。


念のため、やはり定時に仕事を終えた旦那と合流し、帰った。

駅前は楽し気におしゃべりに興じる学生さん達の、いくつもの輪。

スカスカのスポンジマスクも目立つ。

なるべく人ごみに突入しないルートで帰った。


帰宅後夕飯の準備。

米のストッカー(10キロ)を持ちあげるとき、やや痛い。

腫れや熱感のない静かな痛みがたまに在る程度。

インフルエンザなどの通常の筋肉注射より、むしろ痛まない。

ただし、入浴はシャワーにして、患部は擦らず流すだけにした。

(単に気分の問題)


就寝時、刺した方の腕を下にして横臥位で寝ると、やはり痛い。当たり前だ。


ともあれもらったアセトアミノフェンを服用することもなく、24時間以上が経過した。

副反応がきつく出て苦しむ人もいる中で、私はラッキーだったと言える。

ありがとう筋肉。

ありがとう上腕。


第一回でワクチンの証明シール(ロット番号・品名その他が印刷してある)を貼付、接種場所や日時を捺印してもらった接種証明書には、無事二回目の記録が足された。

後々移動やその他で必要になるので、これは絶対に紛失してはならない。

この記事を読んだ人、厳重に保管してくださいね。

(追記・ワクチンパスポートに替わるかもしれません)

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