第7話

「――それじゃあ、始めよっか」

俺は何が始まるのか少しワクワクしていた。

「まずは――カース!」

ライアはそう叫ぶと同時に、一匹の動物が現れた。

いや正確には、と言うべきか。

「これは?」

「これは、カースっていうモンスター。モンスターって言ってるけど、おとなしくてかわいいもんだよ。ほらっ」

そのカースというモンスターは、俺の肩に留まった。


カースと言うモンスターは見た目は鳥。

ただ、普通の鳥とは違くて、所々赤い線が入っていたり、青い線が入っていたりと、見た目的にも美しい鳥だ。


「へぇぇ、すげーな!」

俺はカースの羽あたりを撫でてみた。

羽あたりを撫でてみると、すごく肌触りが良く、ずっと触っていられる。

なんというか......素材がいい毛布みたいな感触。......ちょっと伝わりづらいか。

「キュー!」

「うおっ......」

カースって鳴くんだな......初めて知った。

「どう?かわいいでしょ?」

「うん、すんげーかわいいよ!」

どうせならペットにしたい。

「次は――ラクト!」


......?

今まで感じていた風や、カースの鳴き声がしなくなった。

「――え?」

「ごめんごめん、ラクトは、時間を止められるモノだよー。普通は所要時間があるんだけど、あたしは元王だから、そんなのは無いんだー。ほかには、瞬間移動するテレポートや、回復するヒール、移動速度が速くなるモノベスとか、色々あるんだー。それじゃあ、ちょっと街の方にいこっか」

ライアは、再び俺の手を取ると、

「テレポート!」


目を開くとそこには、たくさんの人がいた。

しかし、その人たちは動く様子がない。

なぜかというと、ずっと時間を止めているから。

「――ほらね?ラクトは、こんな感じで時間が止められるんだー」

ライアはそう言っているが、時間軸が違う一人の男がこちらに近寄ってきた。

「――やあどうも。随分と、魔法を使ってるんですね」

「きゃっ!?じ、時間は止まっているはずなのにどうして......」

「ああ、あなたでしたか。僕は、ツイト。以後よろしく」

ツイトと名乗る男は、俺とライアを交互に見た。

「その失礼ですが、あなたたちの名前は?」

「俺は颯。それで、こっちが――」

「ちょっ......!」

「むぐっ......!?」

俺はライアの名前を言おうとした途端、急に喋れなくなってしまった。

「あ、あたしは――アヤ。い、一応、魔法は使えるんだよー」

ライアは、とっさに仮名を使った。

しかも、ちょっと焦っているが。

「なるほど。もしかしたら、元王のライア様かと思いまして。いや、あの人は死んだんだ。生きて帰るはずがない......もしそうだとしたら――ああ、独り言をしてすみません。ハヤテさん、君に手紙があるんですけど......これを」

「......?」

なぜ俺宛に手紙が?

まあ、後でゆっくり見るとしよう。

「とりあえず、僕はこれで――」

そう言ったツイトは、一瞬にして俺の視界から消え去ってしまった――。






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