第6話
「――それじゃあ、今日は散歩でもいこーよ!」
朝目が覚めて一番に、ライアがそう言い放った。
昨日は、この世界に来て分からないことが多かったが、今はライアがいるのでこの世界の事については多少分かるだろう。
うーん、今でもそうだが、なぜこの子はこんなにもかわいいのだろうか。
俺は、ライアの事をもう少し知りたいので、ちょっとライアの方へ寄ってみた。
「えっ?あ、あの......どうしたの?」
当然だが、俺がライアの近くに来たのでライアはびっくりしている。
「いや、ライアの事をもっと知りたいなって思って」
「あ、あたしの事?......うーん、べ、別にいいけどさぁ」
少し笑ってそう言うライア。
「とりあえず、まずは外に出ようよ」
「はいはい」
俺は昨日と同じ服のまま外に出ることにした。
まず最初に思ったことは、ここの世界の服が欲しいということ。
当然、旅行とかに来ては無いので、服とか下着とかは初日と同じ。
もっと分かりやすく言えば、替えの服とかが無いということ。
さすがに同じ服とか下着というのは、衛生的にも良くないと思う。
だから、俺は最初に服とかを買いたいと思ったのだ。
「そう言えば、聞いてなかったけど君の名前は?」
そう言えばそうだった。
ライアの名前を聞いたっきり、俺は自分の名前を言っていない。
「俺は、
本名は、
「へぇー、ハヤテって言うんだー!じゃあ、ハヤテは今から何したい?」
「その、服が欲しいと思って」
俺は今したいことをライアに言った。
すると、ライアはしばらくの間考えると、
「それなら......これなんかどうかなー?」
どこから出したのか、ライアが差し出した手には、黒の半袖があった。
「あ......う、うん。それでいいよ」
俺はちょっと動揺しつつもその服を手に取った。
というかなぜ黒の服を......考えられることは一つ。
魔法か何かで服を出したのだろう。
「えへへー、あんまりかっこいい服とかは出せないけど......それでいいなら、あたしとしても嬉しいよ」
やっぱり魔法か何かで出したらしい。
「あ、そうだ。一つ聞きたいことがあるんだけど、ライアは実際に何が出来るの?」
「うん?一応なんでもできるよー。例えば――」
ライアは右手を差し出すと、手のひらからぼうっと炎が出てきた。
「あとは――」
その差し出した手を一回握り、また差し出すと、今度は冷たい風のようなものが出てきたりと、どう表現したらいいか分からないが......とにかく、すごいことをしていた。
「おお......すごい。これが王の力か......!」
俺はその魔法を見入るようにして見ていた。
「えへへっ、他にもすごいことも出来るけど......見たい?」
ライアは、なぜか分からないが少しモジモジしながらそう言う。
「うんっ!見たい!」
俺は、子供のようにはしゃぎながらそう返す。
「はーい。それじゃあ、ちょっと別な所いこっかー」
ライアは俺の手を取ると、
「じゃあいくよー!」
「テレポート!」
ライアはそう叫ぶと、一瞬にして別な場所へと移っていた――。
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