第2話

「――この世界の王となること......ねぇ」

一番頭に残っていることは、この世界に来てレンリーに言われた言葉『この世界の王となること』だった。

この世界の王となれば、現実世界に帰れるのだとレンリーは言う。

いや、しかし......なぜ俺が、この世界の王となる必要がある?

「――どうしました?」

隣で歩いていたレンリーが俺の顔を覗き込む。

「ああいや......どうして、俺がこの世界の王に?」

俺は考えていたことをレンリーに訊いてみる。

「それは、この世界の王となる人はあなたしかいないから――ですね」

「ちょっと待て、そもそもなぜこの世界には王が必要なんだ?」

レンリーは少し考えると、昔話を話してくれた。


「かつて、このせかいには最強と言われた王がいました。その王は、この世界を治めていた人物で、この世界の動きだったり、この世界をどう大きくしていくかなどをしていたんです。その王は、最強と言われる通り、なんでもできる。例えば、すべての魔法は使えるし、思った通りに人を動かせる。それは、人ならずすべての物を思った通りに動かせる。まさに最強と言うにはふさわしい人物でした。その人物の名は――


――ライア」


レンリーは足を止め、俺に向き直った。

「ある日、最強と言われたライアは、なんらかの方法で死に至りました。その死後、この世界はだんだんと崩れていき、少し前までは崩壊寸前という所でした。そんな時、新たな王が誕生し、この世界はだんだんと調子を戻していきましたが――その王が誕生して数日後、突如消え去ったのです。理由としては――最強じゃなかったから。を持つ者のみが王として君臨でき、この世界を動かせます。その王となる資格を持っているのが――あなた様なんです。あなた様がこの世界の王となったら、この世界はあなた様の好きなように動かせます。一つ言っておくと、わたしは女神ですが、この世界の始まりの人であり、逆に言えば終わりの人でもあります。今はこの言葉は分からなくてもいいです。後々分かりますので――」

レンリーはそこで話を区切って、一つ間を開けてから口を開けた。

「それでは、今から楽しい所に行きましょっか」

笑顔で俺の手を引っ張り歩くレンリー。

俺は、王となったらなにをしようかなと先の事を考えていた。





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