第91話 ジェノサイダーまさるの行方
「さてさて!宝箱の中身は何かな?」
信之は宝箱を開ける。
「これは…剣か?」
「すっごい禍々しいよ!信くん好きそう!」
「くっ、誰が厨二病だ!」
「…確かにとても禍々しいですね…。」
「赤くて黒い~。」
ーーーーーーー
(名)
血魔剣ダーインスレイヴ
(概要)
斬った相手の血を吸いつくすと言われている魔剣
血を吸うことで剣の攻撃力が上がる
ヴァンパイアが装備をすることで、血を操作するスキルの能力が上昇する
ーーーーーーー
「ダーインスレイヴ…。聞いたことがある名前の剣だな。」
「…魔剣として有名な剣ですね。ソフィアさんにぴったりな剣のようです。」
「これまたピンポイントだな…作為的な臭いがするぞ。」
「あら、でもいいじゃない。プレゼントってことでしょ?もらえるものはもらっておきましょう。」
怪しむ信之であったが、ソフィアは嬉しそうに剣を取る。
「とても持ちやすいわね。刃の部分は思ったよりもスマートだし、重さも感じないわね。」
剣を手に取ったソフィアは、慣らすように剣を振る。
形状、長さや重さ等気に入ったようだ。
「試し切りがしたいわね…。でもここにはメタル系のモンスターが大半だし…。」
そう言って、ソフィアは信之の方を見る。
「…!?お、おい!冗談だろ!?」
ソフィアに見られ背筋に悪寒が走った信之は距離を取る。
「ちょっとくらいいいじゃない?私のどが渇いてしまったのよ。信、少しでいいから血をくれないかしら…?」
悪戯っぽく笑いながら信之にお願いするソフィア。
「絶対に無理だ!それに斬られたら俺は本当にミイラ化するぞ!?」
冷や汗をかきながら本気で嫌がる信之。
「大丈夫よ。私はヴァンパイアだから血の操作には慣れているの。安心してね?」
少しずつ近寄ってくるソフィアに信之は…。
「ドロン!」
「あ!信、ずるいわよ!?」
瞬間移動をして逃げるのであった。
◇◆◇◆◇
結果的にソフィアは、冗談が過ぎたと信之に謝ったことで信之は警戒を解くことにした。
その後は三階層を歩き回り、マップの踏破を行った。
特に宝箱は無く、マップもすべて埋まったため、ソフィアとモルのレベル上げに勤しんでいた。
「…ねえ、信。」
メタルクイーンを倒してレベル上げを行っていたソフィアが信之に話しかける。
「ん?どうした?」
「久々に帰ってゆっくりしたいわ。ずっとこの森と川にいるのも少し飽きてしまったの。それに…モルちゃんを見て?」
ソフィアに促されてモルの方を見ると
「スー、スー。」
モルは丸くなって寝ていた。完全にレベル上げに飽きていたのである。
「最初はレベル上げも楽しいし、こんな大自然の中を探索するのも楽しかったのだけれど、流石にずっといるのは堪えるわね…。」
「確かにな…。俺もそろそろ狩猟には飽きてきてしまっていたところだ。」
そう言って信之はゲームを異次元収納に戻す。
「…僕は全クリしてしまって、訓練所で遊んでいました。」
「信にぃは、狩猟に行っても狩猟される側だったよ~?尻尾ビターンってやられてた~。」
「ぐはっ。」
奏の一言にダメージを負う信之。
「じ、じゃあ、久しぶりに帰ってゆっくりするか。」
「えぇ…。ところでイリスちゃんはどこかしら?」
三階層でも同じように、イリスはソフィアとモルとは場所が被らないようにレベル上げを行っていた。
「念話でイリスを呼ぶよ。」
念話を使ってイリスを呼ぶが、信之はすぐに苦い顔をした。
「大声で、やっと楽しくなってきたところなのにーって嘆いているぞ。」
「今の今までレベル上げをしていて、飽きるどころか今やっとエンジンがかかるなんて…。」
「…流石レベル上げオタクですね…。」
「イリスねぇ…。」
信之達が呆れていると、イリスが瞬間移動で戻ってきた。
「戻ったよー!」
「おかえり、じゃあいったん戻るか。」
信之達は一度自宅へと戻ったのであった。
「そうだ、イリス。仕事は次いつあるんだ?」
「えっと、三日くらい仕事が入ってて、その後二連休だよ!」
「おー、二連休か。それならその時攻略に戻ろうか。あっちに行っている間は時間が止まっているとはいえ、休みの日に行きたいだろ?」
「うんうん!今日見たく次の日が仕事だと仕事の内容忘れちゃうからね!」
「…因みにお姉ちゃんは、リアルタイムで授業内容忘れちゃうけどね。」
そう言って横目で奏を見る蒼汰。
「違うよ蒼汰~。忘れるも何も聞いてないから最初からゼロだよ~。」
「「…。」」
薄い胸を張って、自慢げに話す奏に呆れる蒼汰と信之。
「…さて、何か面白い番組でもやっているかな?」
信之がテレビをつけるとニュース番組が映った。
「――次のニュースです。先日テロを起こした天動衆の幹部であったジェノサイダーまさる…本名、鈴木大容疑者がステータス獲得者用の刑務所から突如姿を消しました。」
「ジェノサイダーまさる…?だれだっけ?」
信之はイリスに確認する。
「んー?そんな強そうな名前の人いたっけ?」
イリスも覚えていないようだ。
「刑務所の監視カメラでは、鈴木大容疑者が突如光に包まれて消える場面を捉えており、警察は指定した人物を転送する何らかの能力を持った人物が行った可能性があると慎重に捜査しています。」
「転送…テレポートみたいなスキルか。このテレポートは、取得するのに結構なレベル上げとスキルポイントが必要だし、もしそれを取得している人物がいるのであればそれなりに強い可能性があるな。」
「そうだね…。見つけたらみんなで囲んで倒そうね!」
「お~!」
イリスは握りこぶしを作ってやる気をアピールし、奏はその話に乗る。
「…あなた達が戦ったら一人でも過剰戦力じゃないかしら…。」
その話を聞いて一人呟くソフィアであった。
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