第83話 ソフィアさんは策士でした。
「あら、楽しそうね…。私も混ざっていいかしら?」
「「え!?」」
ソフィアの発言に驚く信之とイリス。
「だだだ、ダメだよ!信くんのお仕置きは私がするから!」
驚きながらもすぐに拒否をするイリス。
「でもねイリスちゃん、私わかってしまったことがあるの…。」
「な、なに?」
「私、ヴァンパイアの変異種になって、信の体液が好物になってしまったみたい。この種は好き嫌いが多いようだし、飲まないと飢え死にしてしまうわ?」
とても困ったような顔でイリスを見るソフィア。
「で、でも…それなら信くんの血を飲んでおけば飢え死になんてことは…。」
「イリスちゃんは、一つの食べ物を飽きずにずーっと食べることってできるかしら?」
「え?それは無理だよ、飽きちゃう…あっ!」
ソフィアの問いの意図に気付いたイリス。
「そうなの。信の血は確かに美味しいんだけれども、それをずっと飲んでいるのも飽きてしまうのよ。だから違う味も試してみたいの?ダメかしら…。ダメなら信の血だけで我慢するわ…。」
「う、うーん…。」
落ち込んだような仕草をするソフィアにイリスは罪悪感を感じてしまう。
ちなみに信之は何かを発言しても良いことは無いと判断し、事の成り行きを見守っている。
「じゃ、じゃあ私の血はどうかな!?」
「あら、イリスちゃんの血?そうね…いただいてみようかしら。」
イリスの提案に乗るソフィア。
「えっと、とりあえず指先を切って…。」
イリスは人差し指の先を刃物で浅く切る。
するとすぐに血が滲み出てたきた。
「いただくわね。」
ソフィアはイリスの手を取り、人差し指の指先を舐める。
「わ、わぁ~…な、なんだか凄い光景…。女の子の私でも変な気持ちになっちゃうよ…。」
ソフィアが指を舐めているのを見て顔を赤らめるイリス。
だが、すぐにソフィアは舐めるのをやめる。
「うーん…。美味しくないわね。」
ソフィアは顔を渋りながら答える。
「えー!?」
「すこし苦いわね。どうしてこんなにも味が違うのかしら…。信のはもっと旨みと中毒性があるのよ…。」
「ふえぇ…。そうなるとやっぱり信くんかぁ…。」
見ている限り、ソフィアは嘘を言っているようには見えなかった。
イリスが悩んでいると…。
「イリスちゃん、私はあくまで食事なの。イリスちゃんと信の邪魔はしないわ?だから、お願い…。」
自分はあくまで食事であり、恋愛での関係での行為ではないと主張するソフィア。
「そ、そっか。食事だもんね!それなら仕方ないよね…。」
「そうよ!それに、今から信をすっからかんのお仕置きするんでしょ?なら、私も手伝うわよ?」
「わぁ…!ありがとう!じゃあ二人で信くんをやっつけよう!」
手伝ってもらえることに喜ぶイリス。
「いやいやいや、そもそもソフィアが俺にキスをしてきてこの状況に至ったんだぞ?その犯人と結託しちゃうってどういうこと!?イリス、騙されるな!ソフィアの策に嵌まっているぞ!」
ソフィアに取り込まれる形となったイリスに諭そうとする信之であったが…
「ひどいわ信。私に食事をさせてくれないっていうのね。およよ…。」
明らかにわざとらしい泣き真似をするソフィア。
普通に泣き真似だとわかるはずだが、イリスは違う。
「信くん、女の子を泣かせるなんてダメだよ!これはもう、お仕置きを追加しないとだね!」
「ば…ばかな…。」
「よしっ!」
小さくガッツボーズを取るソフィア。
信之の惨敗である。
(このままだとやばいッ!イリスだけでも手一杯どころか持て余しているのに、ソフィアが入ったら本当に俺は死ぬ!)
信之は今までに無いくらいに焦っていた。
これまでイリス一人で瀕死状態になるレベルだったのに、そこにソフィアが追加される。
しかもソフィアは信之の体液が中毒症状になると言っていた。
それを考えると、信之が瀕死であろうが搾られること間違いなしだろう。
そう思った信之は、どうにか生き延びようと対策できるスキルが無いか確かめる。
(色欲のスキルに勝てる…いや、せめて匹敵するスキルは無いのか!?)
「さぁ、信くん…。覚悟してね…。」
「信、お腹空いたわ。あなたの…ちょうだい?」
二人が近づいてくる。
絶世の美女二人ではあるが、現在の信之にとってはホラー以外の何物でもない。
(探せ探せ探せッ!)
信之が必死に探していると、見慣れないスキルを見つける。
ーーーーー
(名)
(概要)
搾り取られて死が確実である男が、奪われるであろう精を何とか守り、生き延びようと必死にスキルを求めた時に取得が可能となるスキル
取得することで精が尽きることが無くなるよ!やったね!
絶体絶命のように見えるから、助け船出しとくね!
ーーーーー
最後の文章が明らかに信之宛であることは無視して、即座に取得する信之。
「シャオラァッ!かかってきやがれぃ!」
準備万端だと言わんばかりに構える信之。
信之の突然の態度の変化に、イリスとソフィアは顔を見つめ合って首を傾げる。
「信くん、なんでやる気になったのかはわからないけど、これはお仕置きだからね?これからたっくさん反省してもらうから…イヤって言ってもやめないよ!」
「やる気を出したのならたくさん飲んでもいいのよね?楽しみ…。」
信之vsイリス&ソフィアの夜の戦闘が始まるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます