第61話 おかめと買い出しには行きたくありません。

「う…。みんな、大丈夫か?」


信之は起きてすぐに事態を把握し、皆が無事か確認した。


「ん…。私たち、気を失っていたの?」


「…特に何か異常はないように思えます…。」


「むにゃ…ミートソースのスパゲティが食べたい…。むにゃ…。」


イリスと蒼汰はすぐに起きたが、奏はまだ寝ているようだ。


「…お姉ちゃん、起きて。それはミートソーススパゲティじゃなくて、瓦礫だよ。」


「ほにゃ?」


瓦礫を齧っていた奏も起きた。


「確か、進化ボーナスというのを手に入れてそのまま気を失ったな。自分のステータスを確認してみるか。」


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平信之


職業 剣聖 ☆4

種族 上位人ハイヒューマン

称号 羞恥神・大魔導・嬲られし者・試練を超えし者


Lv 47/70

HP 24510

MP 23500

ATK 16810 (17810)

DEF 13560

INT 24200

AGE 11300


・転職が可能です。

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神谷イリス


職業 アサシン ☆6

種族 上位人

称号 銀髪の天使・レベル上げオタク・残念美少女・嬲りし者・試練を超えし者


Lv 74/90

HP 16500

MP 18100

ATK 7210

DEF 5100

INT 12300

AGI 6210


・転職が可能です。

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音羽奏


職業 聖奏士 ☆5

種族 上位人

称号 友達100人・エウテルペに認められし者・試練を超えし者


Lv 80/80

HP 12100

MP 7410

ATK 4560 (5760)

DEF 3030

INT 2030

AGI 2400


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音羽蒼汰


職業 魔蟲使い☆5

種族 上位人

称号 分析者・蠅王に認められし者・試練を超えし者


Lv 80/80

HP 5600

MP 14600

ATK 2820

DEF 2000

INT 7600 (8800)

AGI 2020


ーーーーーーー


「うわ…各能力値が凄いことになってるな…。これは、9999でカンストした後に上がっていた能力値はストックされていて、上限突破でストックが放出されたという感じか。」


「わー!凄い凄い!もっとたくさんレベル上げたら10万とか、100万とか行くのかな?レベル上げてみたいー!」


「…イリス姉さん。それはやりすぎかも…。」


レベル上げオタクにドン引きの蒼汰。


「ねえねえ、それよりもなんだかみんな変わった~?」


奏は皆を見て首を傾げる。


「ん、何か変わったか?…あー、何だろう、確かにみんな何か変わったな。纏う雰囲気が変わったというか、存在力が増したというか…。」


「なんか、みんなの事目が離せないって感じだねー!」


特に外見が変わったという事は無いが、纏うオーラが変わったように皆は感じた。


「…もしかすると、これが進化の影響でしょうか。」


蒼汰は、四人が皆一様に変わった原因が進化にあると考えた。


「確かにそれはあるかもな。てっきりステータスが底上げされる程度かと思っていたが。」


「うんうん。レベル以上にステータスが上がっていたからそっちかなって思った!」


ステータスは軒並み1000以上上がっており、これに関しては確実に進化による影響だと考えられる。


「ふぅ、それにしてもやっと目標だった天衝銀竜を倒せたな。」


「うんうん!随分と長く経験値の間に居たよね。」


「本当にな。そろそろ戻らないとまた現実の事を忘れそうだ。」


「私は、ちょくちょくスマホで振り返ってたからだいじょーぶ!」


イリスは、前回のレベル上げで長く経験値の間にいたことにより、現実の世界での仕事内容を忘れるということがあったため、今回は時折仕事内容を確認するという対策をしたようだ。


「…お姉ちゃん、勉強の内容ちゃんと覚えてるよね?」


「大丈夫だよ蒼汰~!奏は、経験値の間にいてもいなくても、勉強の内容覚えてないから~。」


信之とイリスは楽しそうに話す奏と、奏の回答に天を仰ぐ蒼汰に苦笑しながら現実の世界へ戻った。


「あ~、腹減ったな。」


現実の世界に戻った信之は、空腹であることに気付く。


「奏もお腹空いた~。なにか食べよう!」


どうやら奏もお腹が空いているようだ。


「ん~。残念ながら食材があまりないから買い出しに行かなきゃな。」


「なら、買い物にいこー!」


「イリスは駄目だろうに…。」


イリスはこう見えて日本のトップアイドルであるため、あまり外に出したくはない。マスク等するとしてももしバレたら大きな騒ぎになる。


「むぅ…なら、おかめつけるよ!」


「もっと駄目だろ…。町に黒ずくめのおかめとか通り魔以外の何物でもないわ。」


「こんな優しそうな顔してるのに!?」


イリスは信之にあたかもおかめが恐怖の対象であるような言い方をされてショックを受ける。


「…とりあえず、俺が行ってくるよ…。」


おかめがどれだけ恐怖かをイリスに説明することが無駄であることを思い出した信之は、疲れたように玄関へ向かって歩き出す。


「あ、信にぃ。奏も行く~!」


奏は信之の腕に抱きつく。


「お、一緒に来るか。」


信之は一緒に来てくれる奏の頭を撫でる。


「む!ロリくん!ロリコンは駄目だよ!」


「誰がロリくんだ!ロリコンじゃないわ!」


「?」


「…行ってらっしゃい。」


イリスに謎の釘を刺されながら信之は奏と一緒に買い出しに出た。


「ふんふんふーん。信にぃと買い出し~!」


奏は機嫌が良さそうに歩いて信之と歩いていると…。


「ね、ねえ。何あの二人。凄くかっこいいし、かわいい。」


「俺、なんだかあの男に目が離せない。もしかして、そっちに目覚めてしまったのか!?やらないか?って誘ってみようかな…。」


「はぁはぁ、あの子かわいいぞ。お菓子あげたらついてきてくれるかな。はぁはぁ…。」


「お巡りさん、この人です。」


信之と奏はかなり目立つようで周りの人から注目されている。


「信にぃ…なんだか目立ってる?」


「なんだか異常な目立ち具合だな。進化の影響かもな。」


「えぇ~。なんだか恥ずかしいよぅ…。」


奏は知らない人から注目されるのが恥ずかしいようで顔を赤らめて俯く。


「「「と、尊い!!」」」


周りにいた人たちは、恥ずかしそうな仕草をする奏を見て倒れる人たちが続出するのであった。

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