第62話 閑話_1 蒼汰はバスケで無双する

信之兄さん達と上限突破の間をクリアしてから数日が経った。


僕とお姉ちゃんは今、東京にある中学校に向かっているところだ。


「東京の学校に行くの、なんだかドキドキするね~!」


「…うぅ、知らない人達がいっぱいいるんだろうな…緊張するよ…。」


僕達が今まで通っていた学校は、テロリストによって色々と壊されちゃったらしい。


崩壊する危険とかも考えて、念の為に学校は点検とか工事とか色々しなきゃならないから、僕達は少しの間別の学校に行く事になったんだ。


今はその中学校に向かうための通学路を歩いているんだけど、みんなこっちを凄い見てる。

多分、僕達が違う制服を着ているからなんだろうけど、あまり見ないで欲しいな…。


「あの二人誰?」


「多分、昨日先生が言ってた、神奈川の中学校から来た奴じゃね?」


「今日何人かあの制服の人達見たけど、あの二人だけ違う…。なんだろう…目が離せない。」


「あの二人なんかめっちゃかっこよくねえ?」


「女の子にかっこいいなんて言うのは失礼だよ!でも…かっこいいかも。」


違う…制服のせいじゃない、これ絶対に進化が原因だよね!?

進化が原因だとしたらこれからとても過ごしにくくなるよね…何とかしないと。


「蒼汰…恥ずかしいね…。」


「…お姉ちゃんって恥ずかしいって思うことあったんだね。」


「あるよ!?なんでないと思ったの〜!?」


お姉ちゃんも恥ずかしそうだし、すぐにでも何とかした方が良さそうだね。


とりあえず取得できるスキル一覧を見てみよう。


ーーーーー

暴食

強欲

鶏頭

伸長

覇気制御

ーーーーー


ここら辺のスキル欄かな…。

暴食や強欲がある。これって七大罪のスキルかな!?


ーーーーー

(名)

暴食


(概要)

​ご飯が食べたくなる

ご飯を食べるともっとご飯を食べたくなる

その姿は正に暴食

ーーーーー


ーーーーー

(名)

強欲


(概要)

物が欲しくなる

他人が所持しており、自身がそれを所持していない場合、その人を殺してでも欲しくなる

その姿は正に強欲。

ーーーーー


うん、七大罪スキルは絶対取っちゃダメだね…。

間違って取らないようにスキル欄から消したいくらいだよ。


ーーーーー

(名)

鶏頭


(概要)

三歩歩く毎に何かしらの記憶が消去される

ーーーーー


何なのこのスキル!?絶対取らないよ!


ーーーーー

(名)

伸長


(概要)

身長が伸びやすくなる。

ーーーーー


え、欲しい。

僕は身長低いから凄くほしい。

取ろうか迷っちゃうけど、取り敢えず今は目の前の問題を解決しなきゃ。


ーーーーー

(名)

覇気制御


(概要)

上位人になった者だけが取得できるスキル

覇気を制御する事で、大きすぎる存在感を消すことが可能

ーーーーー


「…これだ!お姉ちゃん、今すぐ覇気制御っていうスキル取って!」


「はきせいぎょ?」


僕はお姉ちゃんに、覇気という字をどう書くのかというところから事細かく説明した。

結果的にお姉ちゃんは無事覇気制御を取得することが出来た。


「取れたよ!これで、みんなに見られなくて済むんだね!」


「…うん。大丈夫なはずだよ。」


周りを見てみると、みんなは困惑した感じでこちらを見なくなった。

僕たちの存在感がいきなり消えたからみんな驚いてるんだろうな。


「蒼汰ありがとう~!これで普通に登校できるね!」


「…うん。早く学校に行こう。」


僕達は学校に着いて、先生に案内されたクラスで自己紹介した。

みんなお姉ちゃんの所に行って話してる。

やっぱりお姉ちゃんは人気なんだなって思った。


授業はそのまま何事もなく進んだよ。

ただ、お姉ちゃんが1時間目の開始数秒で寝始めちゃって、初めての学校で初めて見る先生にとても怒られてた…。


弟として恥ずかしいよ…。


この日は体育の授業があって、男子はバスケをする事になった。


「えっと、音羽君だっけ?君は黄色のゼッケンつけてるチームな!」


「…分かった。」


「お前運動できんの?」


「絶対出来なそうだよな。」


「とりあえずジャンプボールやってみろよ。」


「…うん。」


そういえば、僕って全く運動ができなかったんだけど、今はできるようになってるのかな?


バスケのルールはほんのちょっとしか知らない。

とりあえず、ジャンプボールでボールを弾いて、ボールをもらったらドリブルしながら敵を抜いて行ってボールをゴールに入れればいいんだよね?


「はっ!こんな小さいのがジャンプボールできるわけないだろ。」


目の前の人は身長が170センチくらいある巨人さんだ。

その身長うらやましいなぁ。やっぱり伸長のスキル取ろうかな…。


身長の事を考えていたらボールが上に投げられた。


僕はジャンプした。

目の前では非常に驚いた顔をした巨人さんが僕を

そう、僕は巨人さんよりも高くジャンプしていた。


「…僕がボールを取っちゃダメなんだよね。」


僕は近くにいる黄色いゼッケンの人に向けてボールを弾く。

その間、巨人さんたち敵チームは動かなかった。

というか、味方のチームも動かない…なんでだろう。


「…?バスケやらないの?」


「ッ!や、やるよ!」


ボールを取った人はそのまま僕にボールを渡してきた。

目の前に巨人さんいるのに…。


ボールを取ったら巨人さんは我に返ったようだ。


「ちょっとジャンプ力があるからって!!」


「…ドリブルしてゴールに持っていけばいいんだよね。」


僕はドリブルを始めた。

ドリブルを行ったと同時に巨人さんが手を出してボールを弾こうとする。


けどその手は空を切ることになった。

何故なら僕は既に巨人さんを抜いているから。


「なっ!?」


「速いぞ!みんなボールを奪え!」


敵チームのみんなが寄ってたかって僕からボールを取ろうとする。


「…させないよ。」


僕は巨人さんの後ろにいた敵を全員抜いてゴールに向かう。


「はぁ!?そんなのありかよ!」


「駄目だ!追いつけない!!」


あ、この高さならダンクシュートできそうだな。

僕はボールを両手で掴んでゴールに向かってジャンプする。


「お、おい…嘘だろ。」


「人ってあんなに飛べるのかよ…。」


僕はそのままボールをゴールに叩き入れた。


シーン…


「…あれ?」


周りはいつの間にか静まり返っていて、聞こえてくるのはボールがバウンドする音だけだった…。

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