第39話 遺跡と言ったらトレジャーハンター!

「ここが三階層か。」


三階層は広大な森と川のステージだった。

三階層の入り口は崖の上にあり、そこからの景色は絶景だった。


「うわぁ~!良い景色だね!なんかアマゾンに来たというか…凄い自然!」


今までテレビでしか見たことのないような景色にイリスは興奮を抑えきれない。


「そうだな。こんな景色は日本じゃ見れないもんな。…ん?」


信之はところどころに何か瓦礫のようなものがちらほらと目に入った。


「あれ…なんだろうな。」


「うーん、なんだろ?行ってみる?」


「そうだな!調査してみよう!」


瓦礫の場所はこの場所からそこまで遠くはないため、向かうことにした。


「これは…遺跡か?」


「確かに遺跡っぽい!」


見たことのない材料で積み上げられた柱や塔などがあった。

信之たちは周りを確認していたところ、洞窟を見つける。


「信くん、洞窟探検してみようよ!きっと凄く深い洞窟で、そこはいろいろ罠とかたくさんモンスターが待ち受けていて、最後はすっごいレアアイテムが獲得できる感じだよ!!」


イリスの妄想は捗っているようだ。


「洞窟か…。よし入ってみようか!ライト。」


信之は、意を決して暗闇の洞窟の中に入り、灯りを照らす為ライトの魔法を発動した。


「…なあ、イリス。」


「…うん。ごめんね、信くん。私が悪かったです…。」


ライトで照らしてみると、深い洞窟というほどの広さは無く、掘られた穴程度であった。

途端にテンションが駄々下がりとなるイリス。


「ほ、ほら!イリス見て!宝箱があるぞ!深い洞窟とか、いろいろな罠とか、たくさんのモンスターはいなかったけど、宝箱だけは当たっていたぞ!!」


テンションの下がってしまったイリスを必死で持ち直させようとする信之。


「…信くん…。今は信くんのその優しさが辛いよ…。傷口に塩をかけてるよ…。」


どうやら信之のフォローは、イリスにクリティカルダメージを叩きだしたようだ。


「ぐぅ、すまない。と、とりあえず箱を開けようか!」


信之は探知魔法をかけた後、念のため慎重に宝箱を開ける。


宝箱の中には鈍色のミドルソードが入っていた。


「あれ?信くん、これって…。」


信之は鑑定をかける


ーーーーーーー

(名)

メタルハントソード


(概要)

メタル物質を切り裂くのに特化した剣

ーーーーーーー


「メタル特化の剣か!1本しか無かったからありがたい!しかもこっちはショートソードよりも長い剣か!」


「うんうん!!これで…レベル上げが捗る…はぁ…。」


イリスはトリップしたようだ。


「はっ!信くん、もしかして、遺跡いくつか見えたけど、全部宝箱おいてあるのかなっ!?」


「あり得るな!良し、三階層の遺跡すべて調べ尽くすぞ!」


「おー!」


信之たちは、別の遺跡を探して歩きだした。



歩き出して数分後、信之たちの探知にモンスターが引っかかる。


「信くん!」


「ああ、来る。三階層という事はとうとうキングなのか…。」


木々や草が揺れて現れたのは、


ーーーーーーー

(名)

メタルクイーン


(概要)

メタルヒュージスライムが突然変異したもの。

メタルヒュージスライムが行ってくる、のしかかりの他、体を自由に変化させ多彩な攻撃を放ってくる。


ここまで来たら流石にキングだろうとか考えた奴。乙!

ーーーーーーー


最後まで文を読んだ信之は、瞬間移動でメタルクイーンを即倒す。


「の…信くん。その、えっと…ドンマイだよッ!」


今度はイリスが信之をフォローしようとする。


「…鑑定の文章作った奴でてこいやーーーーー!!!」


信之のむなしい叫びは山彦となり消えていった。



1時間もしないうちに信之は上機嫌となった。

その理由は、メタルクイーンの経験値が想像以上に良かったからだ。

イリスといったら、それはもう満面の笑みである。


「剣が二本になったから効率も上がったし、メタルクイーンは経験値美味いし、最高だな!」


信之はメタルクイーンの攻撃を何の苦労もなく避けながらイリスに話しかける。


「うん!たくさんレベル上がるから本当に楽しい!」


イリスも同様に別のメタルクイーンから攻撃をされているが、剣で弾きながら前に出る。


二人は二体のメタルクイーンを軽々と倒し、絶品の料理を食べたときのような顔で経験値を噛み締める。


「「うま~!!」」


そんなことをやっている間に次の遺跡へと到着する。

二人は、一つ目の遺跡と同じように洞窟が無いかを確認する。


「洞窟はなさそうだな。」


「うん。でも代わりに入れそうな塔があるね。」


一つ目の遺跡にも塔はあったが、途中で崩れており入れる状態ではなかった。

しかし今回の塔は崩れてはおらず、入れそうだ。



信之が先に塔に入って安全を確認すると、イリスも塔に入る。


「あれ?なんだか、外で見た大きさより中が広い気がする。」


「確かにそうだね。外で見たときは広さはそんなに無かったと思ったのに、入ってみるとかなり広い。壁に魔法陣がいくつか書いてあるけど、もしかすると中を拡張する魔法か何かかもね。」


信之は周りを見ると螺旋状の階段を発見する。


「上に行ってみようか。」


螺旋状の階段を上っていくと、扉があった。


「信くん…。」


「ああ。モンスターがいるな。」


探知魔法にてモンスターがいることを確認した信之とイリス。



扉を開けると、そこには深緑の鱗を煌めかせ、長い舌と鋭利な牙をした、体長3メートルほどで二足歩行の爬虫類系モンスターが槍を持って待ち構えていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る