第34話 激昂せし魔法剣士

後日、イリスが一般男性信之と付き合っている事が報じられた。

事務所は、当初の通り「恋愛については本人に任せている」と回答し、イリスはマスコミに付き合っている事を公表した。


この事は大きくニュースで取り上げられることとなり、「イリスショック」や「天使ショック」として一面に載る事となった。



そして…


それを見て激怒する人物がいた。


「ふっざけんなあぁあああ!」


神示から借りた住居を破壊している悠助だ。


「あのクソアマッ!俺じゃなく有名でもなんでもねぇ男になびきやがって!!許さねぇぞぉお!!」


テーブルの上にある食べかけの食べ物や食器を全て薙ぎ払う。


「はぁ、はぁ…。分からせてやる…!俺を裏切ったらどうなるかを…!!」


神示に大人しくしていろと言われたのにも関わらず、布に包まれた刀を手にし、家を出てイリスを探しに行く。


(確かイリスは、毎週この曜日にラジオ番組の生放送に出演している。ラジオ局に行けば…)


―——イリスがいるはず。


そう考え、悠助はステータスをフル活用し、とてつもない速度でラジオ局へ向かった。



イリスは悠助の推測通りラジオ番組に出演しており、番組が終了したところだった。


「イリスさん、お疲れ様でーす!」


「はい!お疲れ様でした~!今日もありがとうございました。」


スタッフ皆にお礼を告げ、帰る支度をしてイリスは外に出る。


「…!!!」


イリスは悠助を探知魔法で確認した。


悠助に襲われてからイリスは、常時探知魔法をかけることにしている。

以前襲われた際に悠助の魔力は把握しており、そのおかげで今回は不意をつかれずに発見することが出来た。


(信くん。あの人が来た…。)


(蓮見悠助か。分かった!向かうよ。)


(ありがとう。…ごめんね、私が解決しなくちゃいけないのに…。)


本来であればイリスも非常に強い為、悠助と戦う事ができる。

しかし、未だにイリスは人と戦う覚悟を決められない。


(大丈夫、任せておけ。)


(…うん。)


イリスは、ボディガードとマネージャーと話しながら帰り道を進む。


「それで明日の予定ですが…」


「やっと来たかよぉ、イリスぅ~。」


マネージャーが明日の予定を話そうとしたところ、悠助が現れる。


「蓮見さん…」


「てめぇ、誰に許可得て男なんて作ってんだぁ?」


そう言いながら、悠助は刀を抜く。


「は、犯罪だぞ!」


マネージャーは、イリスの後ろで指をさして悠助を指摘する。


「はぁ?脳みそ腐ってんのか?俺はもう犯罪者だろうが。今更関係ねぇよ。」


ゆっくりと悠助は前進しイリスの方へ向かう。


「迷惑です!これ以上、私に関わらないで下さい!」


イリスは大声を出し、悠助に訴える。


「あぁ!?迷惑?迷惑かかっているのはこっちなんだよ!てめぇが言う事聞かねえせいで、こっちは犯罪者だ!首輪つけて裸でそこら中引っ張り回してやるから覚悟しとけぇ!!」


悠助は自分を正当化し、悠助が犯罪者になったのはイリスのせいだと主張する。


「…あ?」


ボディガードが前に出て、悠助の進行を妨げる。

しかし、ボディガードの顔色は芳しくは無い。

相手は刀を所持しており、ボディガードは武器を持っていないからだ。


「雑魚は引っ込んでろよ!」


悠助は紅蓮斬を発動させる。刀の周りから赤い炎が巻き上がり刀身を包む。


「なっ!」


「ひぃ!ほ、炎が!?」


紅蓮斬を見たボディガードとマネージャーは驚き固まる。


「逝っちまえ!」


悠助が距離を詰めてボディガードを切り伏せようとしたところ…。


「君は学ばないね。そんながつがつしていると女の子にモテないよ。」


悠助の後ろからピエロの格好をした信之が現れた。


悠助は動きを止めて、すぐに後ろを振り返る。


「来やがったなぁ!ピエロぉおお!!」


「え?なに?もしかして私が本命だったのかな?…すまないね。私は男に興味はないのだよ。君にお尻を渡すことはできない。」


「ふっざけんなぁあああ!」


悠助は青筋を立てて信之に切りかかる。




信之と悠助の激闘が始まる。

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