第12話 緑色の化け物
「ここが新しい家か。めちゃくちゃ綺麗だなー。」
新しい家は、家賃25万の高層マンションだ。
23区内の駅近で防音対策もしっかりしているようだ。
台所はアイランドキッチンになっていてとても料理がしやすそうだ。
その分、掃除も大変そうだが…。もちろん食器洗浄機は搭載されている。
風呂は、人1人が寝転がっても問題ない位の大きさがあり、体を流す場所も広い。
「こんなところに住めるなんて、まじで幸せだなぁ。のし上がった感が半端ない!よし、家電も総とっかえだ。今日から仕事も無くなって、晴れてニートな訳だし、楽しんでいくぜ!!」
それからの生活は贅沢が過ぎるものだった。
信之はMMOのソーシャルゲームを好んでプレイしていたが、当時はお金もなく微課金程度だった。
しかし、お金を持った今、毎日数十万円単位で課金してゲームを楽しんだ。最終的には強すぎてそのサーバーが過疎ってしまい、面白くなくなってしまいやめた。
夜はキャバクラや居酒屋に向かい、スキルを用いて女性を口説きホテルに向かうような生活を行った。
そのような生活を送っていたある日、家で朝食を摂りながらテレビニュースを見ていると。
「殺害した犯人を目撃した者は、犯人は緑色の人型だったと話しており…」
「緑色の人型?着ぐるみでも着ていたのかな?狂人だな…。」
どうやら殺人があって、その犯人の様相が特異であるとのこと。
現場をLIVE中継しており、男性キャスターは現場を歩きながら説明している。
「目撃者はここ付近にて、犯人を見つけたとのことです。」
「ふーん、結構うちに近いな。駅で言ったら3つ分程度か。見つけたら着ぐるみ剥いで警察に届けるか。」
その程度の気持ちでニュースを見ていた。
このニュースが引き金で、世界が混沌に陥ることを信之はこの時知る由もなかった。
ここ数日、緑色の人型に関するニュース一色となっている。
その理由としては、その様相はもちろんのことだが、人が喰われているという目撃情報もあったためだ。
さらに、どうやら日本だけでなく海外でも同じような事件が起きているらしい。
事態を重く見た政府は、自衛隊を駆り出して警察と合同で犯人捜査を行っている。
そして、今日もニュースでは殺害現場のLIVE中継がされている
「目撃者はここで、この先10メートルほど先の路地裏で殺害された男性を食べているところを目撃したとのことで...」
「うわ、男性を食べているとかグロ過ぎだろ。猟奇的にもほどがあるぞ…。ん?」
信之は、LIVE中継しているリポーターの後ろで、何か影が向かってきているのを確認する。
「そして、目撃者は犯人に対して声を…。」
ここでリポーターも人影に気付く。
カメラマンは路地裏の方向にカメラを向けて、それが一体何かを映し出そうとする。
映し出されたのは、緑色の体に醜い顔をした化け物だった。
とても人間とは思えない顔つきで、体はそこまで大きくなさそうに思える。
「逃げろ、逃げろ!警察よんで!警察!!はやくっ!」
リポーターはカメラマンなどに大声で叫び逃げようとする。
カメラマンは緑色の化け物を撮りながらも後退する。
「グギャーーーー!!!」
人では出せないような声をあげながら、緑色の化け物はリポーターやカメラマンの方に走ってきた。その体からは想定できないほどの速さで。
その緑色の化け物は、すぐにカメラマンの目の前まで来ていた。カメラマンは撮ることに必死で、逃げ遅れていたのだ。
「ひぃ!!助けて!たすけ…」
ここで、現場の中継は終了した。
「おいおい、なんだよあれ。あんなのモンスター以外考えられないじゃん。あれ、ゴブリンじゃね?日本どうなってんだよ…。」
経験値の間に行って、モンスターに出会った信之でも流石にこれは動揺した。なにせ現実の世界でこのようなことが起きたのだから。
そのニュースはすぐにSNSや動画サイトで拡散され、かなり大きな事件となった。付近の学校や幼稚園は休校・休園となり、仕事も自宅待機とする会社も出てきた。
数日が経ち、ゴブリンは退治された。
自衛隊と警察が出撃し、銃などの武器を用いてゴブリンを倒した。
5人で1体のゴブリンと戦ったとのことだが、4人が重軽傷を負い、1人が死亡した。
このことからゴブリンは普通の人にとってはかなり脅威となるようだ。
ゴブリンを倒した人は軽傷で取材を受けていた。
恐ろしく速く、恐ろしいほどに腕力があったということと、ゴブリンを倒した後に目の前に文字が映し出されて、自分の名前や数値が表示されたと言っている。
「ゴブリンを倒したことで、ステータスを手に入れたのか。俺が経験値の間で初めてメタルスライムを倒した時と同じだな。ゴブリンについては大人5人が戦ってやっと勝てるということから、恐らくステータスは10前後という感じか?」
大人一人をステータス2程度と考え、ゴブリンの戦力を推測した。
「まあ、ゴブリンは倒されたようだし一段落かな。さて、食材が無いし、買い物でも行くか。」
安堵した信之は、近くの大型スーパーへ買い物へ行った。
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