第8話 最驚(さいきょう)の称号が手に入った…

結論として、シールドアーマーの性能は理解したが、剣技や攻撃力増加、獲得経験値増加の効力を確認することは出来なかった。


シールドアーマーについては、敵の攻撃を1度受けた際にシールド1枚が破損するようだ。もしかすると、攻撃力の高い攻撃を受けた場合は複数枚破損する可能性も有り得そうだ。


剣技や攻撃力増加については、ある程度効力を確認することは出来たが、具体的な効力を確認することが出来なかった。


詳しく説明すると、今までメタルヒュージスライムを倒す際に剣で斬ると、結構弾力ある物質を斬っている。という感覚であったが、スキルを取得してからはほとんど抵抗なく斬れる。となった。それが攻撃力増加による効果なのか、剣技による効果なのか、はたまた双方の効果なのかがわからなかったのだ。


この件については、信之はあまり深く考える必要がないと考えた。とりあえずメタルヒュージスライムが簡単に倒せるようになったのだから問題は無いだろうと思ったからだ。


獲得経験値増加については、そもそもどのくらいの経験値を得ていたかを計算しておらず、計算も面倒だった為、諦めることにした。


「よし、転職してみるか。」


ちなみに、現在のスキルポイントはメタルヒュージスライムを倒した為、150では無く250となっている。


ーーーーーーー

転職先を以下から選んでください。


・武闘家

・魔法士

・力士

ーーーーーーー


「…相変わらず、力士あるな…。絶対選ばないからな!!…それは置いといて、とうとう魔法使い的な職が出た!!これは楽しみだ!」


信之は、迷わず魔法士を選択する。


ーーーーーーー

魔法士に転職をします。

転職に成功しました。


魔法士へ転職した為、魔法士に関わるスキルを獲得できるようになりました。

ーーーーーーー


「よしよしよし!!!魔法士のスキルは何が使えるんだ?!」


正常に転職できたことに安堵し、取得できるスキルを確認する。


ーーーーーーー

・ファイアショット 100

・ウインドショット 100

・アイスショット 100

・ストーンショット 100

・魔力操作 1500

・魔力増加 3200

・ヒール 400

・ファイアボム 600

・ファイアスピア 800

・プロテクション 500

・飛斬撃 1500

・ア〇ンストラッシュ 65536

…etc

ーーーーーーー


「うおー!めちゃくちゃ魔法あるー!!魔法士は、攻撃魔法だけじゃなくて、回復魔法や補助魔法もあるっぽいな!ん?飛斬撃とかア〇ンストラッシュは剣士のスキルだ。ということは、別の職になっても前の職のスキルが取れるってことか!めっちゃ便利じゃん!!」


以前の職のスキルについても取得が可能であることは非常に便利だ。


「あ、スキルポイントも引き継いでるようだ!これならファイアショットが取れそうだな!」


信之は、スキルポイントが250ポイントから変動していないことを確認し、ファイアショットを取得した。


「いよいよ、魔法が使える…。やばい!めっちゃ緊張する!…行くぞ。…ファイアショット!!」


信之のテンションは最高潮に達し、大声でファイアショットを繰り出…せなかった。


「…あれ?ファイアショット!!ファイアショット!!ファイアショット!!」


3度魔法を唱えたが全く魔法が発動しない。


「なんでだ…。もしかして、魔法を発動するためには、厨二病的な詠唱が必要ということか?!むむむむむ…。30を越したおっさんが詠唱とか恥ずかしすぎるけど、やるしかない!そう、これは魔法を発動させるためなのだ。決して詠唱してみたかったとか、そんなことはない。」


誰もいないのに言い訳をする信之。


「…大いなる火の神よ、全てを焼き尽くし、灰燼と化せ!!ファイアショット!」


最下級の魔法なので全てを焼き尽くしたり、灰燼と化せるような魔法でも無いのに勝手に誇張する厨二病さだ。


しかも、しっかり振り付けもしている。「大いなる火の神よ」では、足を大きく開き、両手は空に掲げる。「全てを焼き尽くし」では、右手を顔の前に持っていき、少し顔を隠すようにして、さらに厨二病さを引き立てる。なお、ここでは顔を斜め下を向き、顎は引くのが絶対だ。「灰燼と化せ!!」では、掲げていた左手を前方に持っていき、言葉通りに薙ぎ払う。これが、厨二病を拗らせた32歳の本気だ。


しかし…


「…でない…だとっ!そんな馬鹿な!!こんなにも完璧な詠唱をしたのに何故だ!!」


と、その時、システム音が聞こえてくる。





ーーーーー

平信之が、称号「羞恥神」を獲得しました。

ーーーーー






「……なんっっっっでやねぇええええん!!!」


信之の虚しいツッコミがコダマした。

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