第6話 女たちの戦いと空気男
「それにしても、アルメイエさんがこんなおっきな城のメイド長だったなんて。すごいですね。」
レイは目の前にそびえたつアルマの城よりも一回りも二回りも大きな城を見て目を輝かせながらレヴィに尊敬のまなざしを送る。
「れれれ、レイこそっ!あの影のようなものを倒すときはすごかったぞ!」
レヴィはそんなド直球な誉め言葉に照れながらもなんとか会話を成立させることに必死であった。
「そ、それと私のことはレヴィでいい。私もれれ、レイと呼んでいるのだからな。」
「うん、わかったよ。レヴィ。」
「ふぐっ!」
「れ、レヴィ!?」
レイに名前を呼ばれたレヴィは喜びのあまり卒倒しそうになるところを鍛え上げた精神力でどうにか耐える。そんなレヴィの気持ちもつゆ知らずレイはただただ慌てていた。
「はあ、何やってるのよ。ほら、レイ行きましょ?」
そこにすかさず割って入ったレリアはレイの手を取り引っ張っていく。手をつなぐときにロイスの眼に一瞬映ったレリアの頬は少し膨らんでいるように見えた。
「あ、私もレイと手繋ぎたーい。」
レイの後ろでレヴィを面白おかしく観察していたスフィアもレイと手をつなぐべく二人の後をとてとてと短い歩幅でついていった。
「わ、私も繋ぎたかった...」
「俺ならいつでも空いてるぜ??」
「いや、遠慮しておく。心遣いには感謝しておこう。」
ウィルドが意気消沈しているレヴィに話しかけると、レヴィはウィルドの顔すら見ずに上っ面だけの感謝の言葉を述べるとレイたちが歩いて行った方へとすたすたと足早に歩いて行った。
「ロイスー、俺帰っちゃダメか...?」
ウィルドはアルマにいるロイスへと届くはずのないSOSを言葉にする。満点の星空になぜかロイスの笑顔が見えた。
ノー・ヒーロー 坂ノ清 @kaizyo
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