第14話 問⑤二尋視点【この服を着ろと?】
「お! それな! 何がいいかなぁ」
深山が足を地面に卸すと、ゲーム画面を閉じて、ネット検索を始めた。
「身体的屈辱のある選択って何がある? ピンヒールで踏まれたい体の場所の選択、これはユキさんに嫌がられそうだ。でも、ろうそくと目隠し・縄ならオッケーかな?」
「オ前、ユキ ニ 何ヲ サセル気ダ?」
「上半身裸で歩くか下半身裸で歩くか、これは警察に捕まりそうだし」
「フタヒロ ハ 社会的 ニハ 関川二尋ダ。僕ノ名誉 ヲ 傷ツケルコト ハ ヤメテクレ!」
「メイド服とか?」
「男ガソンナモノ着テドウスル!!」
「愛の伝道師の館に連れて行くのもありだな」
「ヤ、ヤメテクレ!!」
あやしい単語を検索している深山に僕は焦った。僕も慌てて、検索を始める。『身体的屈辱のある選択』なんて言葉を言わなければよかったとひどく後悔した。
◇
「深山、コレデ ドウダ?」
「あん?」
僕は画面に検索して引っかかったWEB小説の一節を画面に映し出した。
【この服を着ろと?】
目の前で、愛しいエレンが微笑んでいる。こんなに幸せなことはない。
ここのところ、お互いに忙しくて、なかなか二人の時間を持てなかったのだ。
やっとできた、二人だけの時間。
キミが満面の笑みでボクを見つめてくれる。
キミのためなら、なんだってしてあげたい。
心から、そう思える。
――と、ついさっきまでは思っていたんだけど――
すまない!
やっぱりムリだよ、コレ。
「似合う! 似合うよ、エドワード!!」
キミが絶対に似合うと言いながらボクに着せた服。
鏡の前で、言われるがままにポーズをとってみるボク。
でも……ダメなんだ。
今日だけは、キミの願いをきいてあげることができそうにない。
「これ着て一緒にお出かけしようねっ!」
ああ、彼女の弾ける笑顔がまた可愛い。
この笑顔を曇らせるなんて想像するのも嫌だ。
嫌だけど、この格好だけは……
ああ、ボクはいったい、どうすればいいんだ?
◇
「あー。一般常識では考えられない服を
「ソウ」
「なんか、いまいちだけどなぁ。それなら、ベビードールでも着させるかぁ」
「オイ!!」
「冗談。冗談。ユキさんと相談して決めるから、楽しみにしてて!」
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