第4話 魔法……? なにこれおいしい。

 魔法。

 元の世界には、おそらく無かったもの。

 それを使えるとなっては、興奮しない方がおかしくないだろうか。

 やはり、魔法と言われて、思い浮かべるものと言えば、あれだ。


 空飛ぶほうき。

 あれ欲しい。


 あれがあるだけで、渋滞問題がかなり改善すると思う。

 車は、地面を走るしかないため、作れる車線が限られていた。

 しかし、空を飛べるのなら、縦に区切りをつけることで、何車線……何箒線?も作れるはずだ。


 次は、あれ。

 物を引き寄せるやつ。

 念動力?

 テレビのリモコンとか、微妙に遠くにあって、手を伸ばして取ろうとしたら、肩を痛めた、なんてこともあった。

 まあ、しばらくは肩の痛みとかに悩まされることは無いんだろうけど。


 そこで、魔法と言えば、魔力。

 魔力増やしたい。

 やっぱり、全部使い終われば、なるんだろうか。


 ……


 ……


 このまま力んでいると、魔力じゃなくて、おならがでそう。

 ま、無理です。

 そもそも、魔力自体あるかわからないし。


 女神さまに頼んだのは、魔法の才能も普通にしてください、ってこと。

 つまり、周りと同じ。

 才能は、あるかもしれないし、逆に一切ないことも考えられる。

 どういう仕組みなのかわからないけれど、魔力とか、なにそれ妄想?で片付けられちゃうかもしれないし。


 あと、体内にあるから、外に出せるとか、馬鹿かと。

 それが出来るなら、体内にある血を、毛穴から自由に出せますか、ってことになる。

 たぶん。

 いや、息と同じなら自由に出し入れできるわ。


 まあ、使えるといいなーくらいが気持ち的に楽になる気がする。

 自分に野球の才能あったらなー的な。

 そう聞くと確率が低い気もするけど、なかったらなかったで仕方がない。


 でもなー、やっぱりほしいなー。

 きっと、小学生の頃に感じた、逆上がりできる子に対する嫉妬に似たものを感じてしまう気がする。

 嫉妬を感じられるのは、若い証拠だし、ぜひ感じたい。


 というか、いつまで俺は転がっていなければならないんだろう。

 半年、くらいか?

 もっと速い?

 言葉が分かるなら、「なかなか立てないわねー」的な言葉を聞き取って、時機を見れるけど、さっぱり。


 毎日試した方がいいのかも?

 初めて立つ赤ん坊ってどういう心境なんだろうか。

 早く動きたい、とか?

 それなら、わかる気がする。


 そもそも、立とうと思ったら、それに使う筋肉が鍛えられている必要があるんじゃないだろうか。

 最初は、物に捕まりながら、立って、そのあと歩けるようになるはず。

 その、物に捕まりながら、というところを、人知れずくりかえしていれば、立てるだけの筋肉はつく気がする。


 もし、立てて、歩けるようになったら……

 鏡が見たい。

 自分の美少女っぷりを眺めたい。

 これは、かなりの動機になる。

 鏡を見るために、頑張るというと、ナルシストみたいだな。

 でも、見たい。

 だから、そのために頑張ろう。

  

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